18カ国の44団体、マタバリ石炭火力発電に関する要請書をJICAに提出
「【要請書】バングラデシュ・マタバリ石炭火力発電フェーズ2事業への 公的支援を行わないことを求める要請書」2020年6月12日
私たち18カ国の44団体は、国際協力機構(JICA)が現在支援を行っているマタバリ石炭火 力発電フェーズ1事業(バングラデシュ石炭火力発電会社(CPGCBL)が事業実施者、住友 商事がEPCコントラクターとして関与)に対する、私たちの強い懸念にご注目いただきたい と思っています。JICAはすでに約14.8億ドルの支援を行い、加えて、推定で13.2億ドルの支 援を行うと想定されています1。さらに、JICAの支援によるフェーズ2事業(1200MW)の建 設が提案されています2。私たちは、コックスバザールのマタバリ地域に建設される石炭火 力発電所建設に伴う緊急な人権問題と環境への懸念を提起するために本要請書をお送りしています。
私たちはJICAに対して、以下の理由から、同事業への支援を行わないよう要請します。
理由1:バングラデシュはすでに電力過剰生産能力を抱えており、追加の電力容量は、バン グラデシュ政府の財務上の損失を増加させるでしょう。同国はすでに、ポストコロナの経済 再生やサイクロン・アンファンからの復興のため、約80億ドルの予算を必要としています……
理由2:JICAは、マタバリ石炭火力発電フェーズ1事業における土地収用と補償手続きに関 する現地住民の苦情について、調査を行うべきです……
理由3:COVID-19によるロックダウン下において、現地建設作業者が、健康を危険にさら しながら労働を続けることを余儀なくされたことに対し、JICAは労働者の人権侵害への責 任を否定することはできません……
理由4:マタバリ石炭火力発電所による公害は、バングラデシュにおいて重大な健康被害及 び早期死亡をもたらすことになるでしょう……
理由5:新規の石炭火力発電所建設はパリ協定の長期目標との整合性がなく、日本政府の 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に反しています……