コロナ雇い止め外国人苦境 短期契約、立場危うく―非正規ユニオンに次々
2020年9月23日
新型コロナウイルスの影響による解雇者数が、8月末時点で5万人を超えた。2008年のリーマン・ショック時と同様、有期雇用が中心の外国人労働者が次々と職を失い、非正規雇用問題を扱う地域のユニオンに駆け込んでいる。
自動車関連の工場が集積する愛知県は、外国人人口が東京に次いで多い。特にブラジル国籍の人は19年末で約6万2000人と、全国の3分の1近くを占める。コロナ禍による需要低迷で受注が減った県内の自動車部品メーカーでも、日系ブラジル人の雇い止めが相次ぐ。
個人加盟の「名古屋ふれあいユニオン」は、米中貿易摩擦も重なり、団体交渉を求める組合員が外国人を中心に過去1年で100人近く増えた。日本語を話せない外国人労働者は多く、鶴丸周一郎委員長は「契約内容が読めず、労働条件を知らずに働いている人が多い」と話す……
25年以上、日系ブラジル人の労働問題を研究する東京都立大の丹野清人教授(労働社会学)によると、ブラジルから出稼ぎ労働者が流入した90年の入管法改正以降、雇用期間は徐々に短縮され、現状は3カ月が主流という。3カ月単位の生産見通しに沿って労働力も決めるためだ。丹野教授は「在庫を極力持たない経営が、日系人の雇用を不安定にしている。せめて1年単位の契約制度に変えるべきではないか」と指摘している。