ドイツ:サプライチェーン法施行から1年、 市民社会ネットワークはポジティブな初期効果を実感
[Ein Jahr deutsches Lieferkettengesetz: Zivilgesellschaftliche Netzwerke sehen erste positive Wirkungen] 2023年12月27日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
サプライチェーン・デューディリジェンス法の施行から1年が経過し、市民社会ネットワークはひとまず、肯定的な評価を下している。企業は人権リスク管理を強化し、被害を受けた人々や人権団体、労働組合は苦情処理メカニズムを活用し始めている。その一方で、サプライチェーン法イニシアティブ、クリーン・クローズ・キャンペーン・ドイツ、CorAネットワークは、同法律には今後改善の余地があるとも考えている。
2023年1月1日に施行されたサプライチェーン・デューデリジェンス法は、特定のドイツ企業に対し、サプライチェーンにおける人権と環境基準の尊重という法的拘束力のある義務を導入した。2024年からはさらに多くの企業が同法律の対象となると同時に、欧州全体の法律の立法も近づいている。
「企業責任のためのCorAネットワーク」コーディネーターであるHeike Drillisch氏は、「サプライチェーン法の1年目は法律が機能していることを実証する結果となった。当ネットワーク組織と影響を受けた者が共同で最初の申し立てを監督当局に提出したが、企業もまた、サプライチェーンに取り組む姿勢を明確に示し、この問題にさらなる配慮を示している」とコメントしている。
同氏はまた、管轄当局である連邦経済・輸出管理庁(BAFA)の責任を強調し、次のように述べる。 「BAFAが中小企業の懸念に対応し、デューデリジェンス義務をサプライヤーに転嫁したり丸投げしてはならないことを明確にしたことは極めて重要である。企業は連携してリスクに対処し、自社のビジネスや購買慣行を改善しなければならない。」「最近、Robert Habeck経済大臣によってサプライチェーン法報告義務の一時停止が要求されたが、これは決して実施されるべきではない。リスク管理と対策に関する報告は無駄な役所仕事ではなく、企業がデューデリジェンス義務を十分に果たしているかどうかを調査するために不可欠なものである。この義務を緩和することは影響を受ける人々の保護にとって逆効果であり、また、すでにサプライチェーン法に従って対策を講じているすべての企業を無視することになりかねない。」
クリーン・クローズ・キャンペーンのケースワーク・コーディネーター、Artemisa Ljarja氏は、労働権侵害が後を絶たない繊維業界の経験について、次のように語る。「企業には現在、自ら苦情処理メカニズムを設置し、影響を受けた人々から受けた申し立てに対応することが求められている。これにより、影響を受けた人々やNGO、労働組合が企業と対話する立場が強化される。企業はサプライチェーンにおいて、労働者が苦情処理手続きを確実に認識し、その便宜性と信頼性を促進することが極めて重要である。」BAFAの苦情処理手続きについては、 「影響を受けた人々は、現場の状況に関する専門家であるだけでなく、例えば労働条件を持続的に改善するために個々のケースにおいてどのような措置が適切で効果的であるかに関しても専門家である。したがって、影響を受けた人々が苦情処理プロセスに全面的に関与することが不可欠である。」と強調した。
サプライチェーン法イニシアティブのスポークスマンを務めるMichelle Trimborn氏は、間もなく施行されるEU法について次のように説明する。「ドイツのサプライチェーン法の弱点は改善可能であり、また改善されるべきである。EUデューディリジェンス指令では、影響を受ける人々に対する民事責任の重要な規定が追加される予定である。ドイツ政府と欧州議会のドイツ人議員は、EU理事会と欧州議会における指令の迅速な最終決定に協力しなければならない。」
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