イスラエル政府による国連パレスチナ難民救済事業機関に対するグーグル広告キャンペーンに、誤情報拡散の懸念と批判が浮上
[Israel buying ads on Google searches of 'Unrwa' to discredit UN agency] 2024年8月27日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
イスラエルが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の信用を失墜させるため、グーグル広告を使用していたとWIREDが報じた。
WIREDの調査報告によると、イスラエル政府広告機構は、”UNRWA“や”UNRWA USA”と検索するとトップに表示される広告枠を購入し、UNRWAがハマスとつながりがあると非難するウェブサイトに検索ユーザーを誘導している。
これはイスラエル政府が運営するウェブサイトで、ここでイスラエルは、UNRWAがハマスのメンバーを雇用することが中立性に反するかどうかを明言していないと非難しているが、UNRWAはこれを強く否定している。
イスラエルは、2023年10月7日に、ハマスによるイスラエル南部への奇襲攻撃に関与したとして、UNRWA職員3万人のうち12人を告発した。これを受けて、2024年1月に西側諸国はUNRWAへの資金拠出を一時停止した。
しかし、国連の調査報告書(フランスのカトリーヌ・コロンナ元外相が率いた調査)は、UNRWA職員がハマスとつながっているという申し立ての「裏付けとなる証拠」をイスラエル当局が提出していないと結論づけた。
この報告書では、UNRWAに対して内部監査機能の強化やプロジェクト管理に対する外部からの監視の強化などの勧告も行った。
この調査報告書を受けて、英国、ドイツ、オーストラリア、カナダ、スウェーデンなどがUNRWAへの資金援助を再開した。
UNRWAの職員は、イスラエルのグーグル広告に気づき、誤情報キャンペーンであるとしてグーグルに削除を要請したが、2024年8月末時点でも広告は検索結果に表示されている。
5月から7月に、グーグルでUNRWAに関連する300以上の用語を検索すると、イスラエルによる広告が44%の割合で表示され、UNRWA USAが自ら出している広告は34%の確立でしか表示されなかった。
「UNRWAを解体しようとするキャンペーンが行われている」
UNRWA USA(米国にあるUNRWAのパートナー団体)を運営するマラ・クロネンフェルド氏は、UNRWA USAはグーグル広告枠を巡る競争でイスラエルに勝つために数千ドルとスタッフの時間を費やしてきたと語った。
クロネンフェルド氏は、イスラエルのプロパガンダが、現在進行中の戦争におけるUNRWAの役割について、人々の認識に影響を与えるのではないかと懸念している。
WIREDの取材に応じたグーグル社員数名によると、この反UNRWAキャンペーンは、イスラエルがここ数ヵ月間に画策したいくつかの広告キャンペーンのうちの1つで、このキャンペーンについて社内外から批判がでているという。
グーグルの広報担当者は、各国政府が同社のポリシーに沿った広告を掲載することは認められているが、ポリシーに違反した場合は「迅速に対応する」とWIREDに語った。
イスラエル外務省は、WIREDからのコメント要請に応じなかった。