技能実習生の強制帰国に対する責任について企業のコメント
「手をつかんだまま、トイレも監視「まるで犯罪者」 技能実習生の強制帰国、スタバやファミマは否定」4月15日
「社長はもう要らないと言っている」
技能実習生として来日したカンボジア人の女性は、ある朝突然、監理団体の職員から荷物をまとめるよう指示された。手をつかまれ、車に押し込められた。
空港までの移動中はトイレに行くのも監視され、「まるで犯罪者のような扱い」を受けた。
これは、強制帰国をさせられたと訴える女性の証言だ。
8人のカンボジア人技能実習生が2016年、受け入れ先の企業などから強制帰国させられ、人権侵害を受けたとして、支援団体が謝罪や補償を求めている。実習生たちの受け入れ先は、スターバックスやファミリーマートなどに食品を提供するサプライヤーだ。
支援者たちは、受け入れ企業や監理団体だけでなく、実習生を直接雇用していたわけではないスタバやファミマの責任も追及している。「サプライチェーンの中で起きた人権侵害は、取引先の企業も責任を負うのが国際的な常識」だと訴えている。
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スターバックスコーヒージャパンは、「外部の専門家による調査の結果、当該サプライヤー(トオカツフーズ)の当時の対応については、法的な問題があったとは認められませんでした」とのコメントを発表した。
具体的な調査内容については3月、取材に「あくまでも直接的な関係のあるトオカツフーズに対して、事実確認と監査を行うことが役割であると認識しています」と答えた。
ファミリーマートは同月、強制帰国という人権侵害行為があったかの認識については「答えられない」とコメントした。
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ビジネスと人権の問題に詳しい大阪経済法科大の菅原絵美・教授(国際人権法)は、今回のスタバやファミマの対応について「実習生から声が上がったにもかかわらず、受け入れ企業側に事実確認をしただけで、詳しい調査結果も公表せず説明責任として不十分。指導原則上の責任を果たしているとは言えません」と指摘する。
「加えて、スターバックスは『法的に問題はなかった』と主張していますが、そもそも指導原則は法的問題に限らず、社会的責任を問うものである点でも認識が誤っています。実習生から苦情や訴えがあった場合、受け入れ企業とともに問題に取り組み、侵害行為を是正・救済していく責任がある、と定めているのです」
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こうした海外の流れを背景に、菅原さんは「SDGsの取り組みの中で、ビジネスと人権はまさにその中核」と強調する。「技能実習生の人権問題に適切に取り組まなければ、いくら企業がSDGsに力を入れているとアピールしても、いわゆる“SDGsウォッシュ”となりかねません」
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