企業の権利か人権か? 貿易・投資協定が人権デューデリジェンス法を脅かす可能性
人権デューデリジェンスなどの法律を含め、企業により規制をかける動向は、 企業の社会的・環境的影響に対する法的責任を問うことを目的としています。 しかし、これら取組みは、議論の的となっているISDS(Investor-State Dispute Settlement:投資家対国家の紛争解決)条項を無責任な企業が使用することによって失敗する危険性があります。
何千もの貿易・投資協定に盛り込まれているISDS制度は、各国の政策によって企業の利益が脅かされた場合、たとえその政策が人権や環境の保護を目的としたものであっても、企業は閉ざされた非公開な法廷を通じて国家を訴えることができます。
本報告書は、各国が人権および環境デューデリジェンス法の導入と、貿易・投資協定の改革の二つを結びつけるべき理由を説明するとともに、ISDS及び無責任な企業がISDSを通じた重要な新規制の成立を阻害する可能性を廃止することを目指します。
報告書の重要ポイント:
- 企業の人権侵害に対する法的責任を問うことを目的にする法律は、ISDS条項に基づく申し立てによって失敗となる可能性があります。
- 新型コロナウイルスからの公正な回復(just recovery)は、企業の勢力を築き、確立する上で重要な役割を果たしてきた国際的な貿易・投資協定によって阻害される可能性があります。
- ISDS条項はグローバルノースとグローバルサウスの発展における不平等をさらに悪化させます。
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本報告書では、人権・環境デューデリジェンス法の導入と、貿易・投資協定の改革を結びつけ、ISDS条項及び無責任な企業がISDSを通じた重要な新規制の成立を阻害する可能性を廃止すべき理由をご紹介します。
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EUでは、企業の法的責任に関する法整備が進んでいますが、貿易協定に含まれる問題のある条項によって、法整備の効果が損なわれる危険性があることが、新たな分析により明らかになりました。
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このセクションでは、国際貿易協定とその人権への影響に関する最新のニュースと分析をまとめています。