フランス:解散総選挙を目前に、ポピュリズムと憎悪に対抗するよう欧州全体が呼びかける中、極右に「媚びを売っている」企業経営者らもいると報道される
フランスで行われる解散総選挙を前に、企業経営者らは左翼的な税制政策を恐れ、マリーヌ・ルペン率いる国民連合(RN)に「媚びを売っている」とフィナンシャル・タイムズ紙(FT)は主張している。選挙キャンペーンでは、新しく結成された左翼連合NFPが、年金改革を撤回し、最低賃金を引き上げ、富裕層や高所得者への課税を強化することで、公的部門の給与や生活保護受給者の給付を増やすことを約束している、と報道各社は伝えている。NFPは現在、世論調査でRNに次いで支持を集めている。
FTが匿名で上級幹部や銀行家に話を聞いたところ、彼らはルペン派の主張は「白紙の状態」であり、企業にとって「重要な問題」については説得の余地があると感じている。その一方で、左派は「強硬な」政策では妥協するつもりはないだろうと話している。FTの報道によれば、RNはここ数カ月、非公開の会合で企業を「口説き落とす」試みを行っていたという。
一方、一部の企業経営者たちは、欧州懐疑主義的なRNと移民に対するその厳しい姿勢に警告を発している。「グリーンAI」企業namRのCEOであるクロエ・クレール氏は、『Euronews』のインタビューに対して、「我々はゼノフォビア(外国人嫌悪)でいても成功できない」と述べた。別の企業経営者は、グリーン転換を加速させる代わりに化石燃料の消費を促進しかねない極右の公約に対する懸念を表明した。
「市民活動家、労働組合員、弁護士、ジャーナリスト、そして企業人たちは、市民社会という空間を共有しており、企業経営者たちの間にも、この空間は守らなければならないことを理解する人が増えてきている。」 市民社会空間への圧力, ベネット・フリーマン, ビジネスと人権リソースセンター/国際人権サービス(ISHR)(2018)
最近の欧州議会選挙でRNがマクロン大統領率いるルネサンス党の2倍以上の議席を獲得したことを受け、フランスでは6月30日と7月7日に解散総選挙が招集された。EUの最終結果では欧州全域での極右政党の躍進は見られなかったが、RNはドイツやオーストリアなどでも多くの票を獲得した。メディアの報道によれば、外国投資先として魅力的なドイツのイメージが脅かされるのではないかという懸念から、ドイツの企業経営者らは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に反対する姿勢を強めている(企業同盟WE STAND FOR VALUESを参照)。
さらに、EUの選挙結果は、一部の右派政党から敵意を向けられているグリーン転換政策の将来に疑問を投げかけている。400を超える企業や産業団体が、欧州の指導者たちに対して、欧州グリーンディールに取り組むよう要求している。「偽情報や反グリーンキャンペーンが我々の将来を左右することは許されない」とWWFの代表はFTのSustainable Viewsで述べている。多くの専門家は、EU議会で中道派が多数派を占め続けていることは、グリーンディールに対する希望の表れであり、新たに選出された政策立案者の責任を問うものであると見ている。