モザンビーク:民間警備会社による生存権の侵害と戦争の原則に対する違反行為が明らかに
アムネスティ・インターナショナルは3月2日 、モザンビークのカーボ・デルガド州で続く紛争に関する新たな報告書の公表にあわせて、現地の武装組織アル・シャバブ、政府の治安部隊、政府に雇われた民間軍事会社が何百人もの民間人を違法に殺害している同国の実態を明らかにした。今回公表された報告書『‘What I Saw Is Death’: War Crimes in Mozambique’s Forgotten Cape(仮題 目前に広がる死:モザンビークのカーボ・デルガド州における戦争犯罪)』によると、すべての紛争当事者が国際人道法の重大な違反を犯しており、その結果、多くの人が死亡し、至るところで建物が破壊され、50万人以上が家を追われる人道危機が起きているという。また、アル・シャバブによる民間人への残虐行為、政府の治安部隊による超法規的処刑などの人権侵害、南アフリカの民間軍事会社ディック・アドバイザリー・グループ(DAG)による無差別攻撃についても詳述されている。
「カーボ・デルガド州の人々は、モザンビークの治安部隊に民間の警備員の他、政府、現地の反政府武装組織アル・シャバブの間で板挟みとなっています。そうした紛争当事者はいずれも、民間人の生存権を尊重せず、戦争の原則も守っていません」と、アムネスティ・インターナショナルの東南部アフリカ部長を務めるデプローズ・ムチェナは語る。「紛争当事者3者ともが戦争犯罪を犯し、何百人もの民間人が犠牲になっています。国際社会は、過去3年にわたってこの危機への対応を怠り、武力紛争の激化を招く結果となりました…政府軍もまた、アル・シャバブに手を貸したとして民間人を相手に残虐な行為に及んでいます。軍や警察による超法規的な処刑、拷問や虐待、遺体の切断も横行しています」。
…治安部隊がアル・シャバブとの戦闘に続けて敗れたことを受けて、政府は南アフリカの民間軍事会社ディック・アドバイザリー・グループ(DAG)を雇い、代替要員としてヘリコプターを使った攻撃に送り込んでいる。アムネスティ・インターナショナルの取材に答えた53名の証言によると、DAGの戦闘員は、ヘリコプターから機関銃を発砲したり、人が集まっているところに見境なく手榴弾を投げ込んだりした上、病院や学校、民家など民間のインフラを狙った攻撃を繰り返し行ったという…「我々が入手した証言は、DAGによる執拗かつ見境ない攻撃パターンを裏付けるものです」とムチェナは言う。「人が集まっているところを見境なく銃撃し、民間のインフラを攻撃し、軍事的な標的と民間人の区別もできていない。明らかに国際人道法に違反しています。DAGの責任は直ちに問われなければなりません」。