日本:マクドナルドの変形労働時間制、名古屋高裁で無効判決
[マクドナルド訴訟 控訴審も変形労働時間制は「無効」 名古屋高裁] 2023年6月22日
日本マクドナルド(本社・東京都新宿区)元社員の男性=名古屋市=が、成績不振の従業員に対する業績改善計画で達成困難な目標を課され退職を強要されたとして、同社に解雇無効や慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が22日、名古屋高裁であった。同社が元社員に適用していた「変形労働時間制」を無効と判断し、未払い賃金約61万円の支払いを命じた1審・名古屋地裁判決を支持した。一方、「退職を強要された」とする元社員側の請求は棄却した。
変形労働時間制は、労働時間を1日単位ではなく、月または年単位で計算する制度。繁忙期と閑散期で仕事量が異なる企業などが採用している。
同社は各店舗で1カ月単位での同制度を導入し、就業規則で規定。しかし、元社員の男性は就業規則とは異なるシフトで勤務していた。これに対し、1審判決は「就業規則に定めていない店舗独自の勤務シフトは労働基準法の要件を満たしていない」と変形労働時間制が無効と判断した。
同社は1審で、「全店舗(直営864店)に共通するシフトを設定することは不可能。各店舗のシフトは就業規則に準じている」と主張し、控訴審でも「労基法の要件を満たし有効」と訴えた。これに対し名古屋高裁の松村徹裁判長は「労働基準法は労働者の生活設計を損なわない範囲内において変形労働時間制を認めるものであり、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することは許容していない」とする1審判決を引用し、同社側の主張を退けた。
日本マクドナルドの広報担当者は取材に「判決文が届いていないためコメントは控えたい」と話した。
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