米国:HART生体認証データベースの重大な人権リスクを報告書が警告、データベースをホストする契約を解除するよう市民団体がアマゾン・ウェブ・サービスに呼びかける
2022年5月、Immigrant Defense Project、Just Futures Law、Mijenteが「Hartの攻撃:DHSの巨大な生体認証データベースがいかに監視を強化し、権利を脅かすか」という報告書を発表した。この報告書は、米国国土安全保障省(DHS)が国土高度認識技術システム(Homeland Advanced Recognition Technology:HART)データベースという巨大な生体認証データベースを構築中であることを明らかにするものだ。HARTはDHSの監視能力を大幅に拡大し、国外退去システムを格段に強化する。報告書によると、HARTは、膨大な数の人々の顔認識、DNA、虹彩スキャン、指紋、声紋などの生体認証データを収集・比較し、DHSが移住者を対象として監視、強制捜査、逮捕、拘留を行い、国外退去させることを可能にする。報告書は、HARTが、すでに差別的な取り締まりや監視を受けている、黒や褐色の肌を持つ人々や移住者などの人権とプライバシーの権利を特に激しく侵害する恐れがあると警告する。また、HARTによるプライバシーの権利と人権の侵害に一役買っている企業ついても大きく取り上げている。
5月末には、35を超える人権団体が共同でアマゾン・ウェブ・サービスに書簡を送り、HARTのデータベースをホストする契約を解除するよう呼びかけた。
ビジネスと人権リソースセンターは、Veritas Capital、NEC、Peraton、Thales Corporation、NTT Data Federal Services、Global Infotek、アマゾン・ウェブ・サービス、Bayfirst Solutions、The Mitre Corporation、General Dynamicsの各社に、報告書に記載されている主張に対して回答するよう求めた。回答を寄せたのはNECだけだった。