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オーストラリアの現代奴隷法:目的に沿っているのか
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オーストラリアの現代奴隷法は、大企業などに現代奴隷への取り組みの報告を義務付けることで現代奴隷の予防と改善に向けた企業行動の変革促進を目的としています。しかし、この法律は本来の目的に沿ったものなのでしょうか。
ビジネスと人権リソースセンターを含む人権団体連合による共同報告書は、2022年と2023年に実施された90の企業への調査とフォーカスグループから集められたデータに基づいており、政策の改定とビジネス実践に有益な最新の重要データを提供します。
主な調査結果
- 調査対象企業の70%が奴隷対策委員会の設立を支持しています。
- 67%の企業は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際基準と調和していれば、現代奴隷法がより遵守しやすくなると考えています。
- 61% は、人権デューデリジェンスの実施が義務付けられた場合、現代奴隷法への対応を改善する可能性が高いと回答しています。
- 54% は、金銭的な罰則が導入されれば現代奴隷への対応が改善される可能性が高いと回答しています。
さらに、サプライチェーンにおける現代奴隷の改善を目的とした企業の取り組みについても調査を実施しました。その結果、ステークホルダーの関与が現代奴隷の改善に大きな障壁となっていること、一方で企業とサプライヤーの透明性が高まればより効果的な改善活動につながることが明らかになりました。
政府に対して、以下のような法律の強化を要求します。
- 事業やサプライチェーンにおける現代奴隷制を防止し、解決するためのデューデリジェンス実施を企業に義務付ける
- 同法を遵守しない企業に対して罰則を導入する
- 反奴隷制委員会を設置し、法の適切な監視と執行を確保する
企業はオーストラリアの現代奴隷制度改革を支持しています。私たちの最新調査では現代奴隷法の影響と実施に関する意見を聴取し、人権デューデリジェンスに関する要求と現代奴隷法のより厳格な規制を企業が支持していることが明らかになりました。今後の行方は政府次第です。ビジネスと人権リソースセンター Amy Sinclair