KnowTheChain: 企業のグッドプラクティス・ガイド
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企業は、どのセクターに属していても、人権の推進において重要な役割を果たすことができます。ディーセント・ワークの推進、生活賃金の確保、ジェンダー平等の促進、安全で衛生的な職場の確保など、基本的な権利を尊重し、公正な交渉を通じて、企業は事業やサプライチェーンにおける繁栄の共有を実現する独自の立場にあります。世界的な法規制の進展に加え、消費者や株主の期待が変化するなか、企業はますます積極的な役割を果たし、製品を市場に提供する際に、既存の人権リスクや脆弱性を悪化させたり、そこから利益を得たりしないことが求められています。これは、原材料の採掘や栽培から最終製品に至るまで、あらゆる段階において適用されます。
本ガイドは、サプライチェーン上流における人権デューディリジェンスの主要な要素について、企業がどのような実践を行い、どのように情報開示を行うべきかを理解しようとする企業や投資家向けのリソースです。
このガイドは、KnowTheChainが8年にわたり、アパレル・フットウェア、食品・飲料、情報通信技術の3つのセクターに属する大手企業を対象に実施したベンチマーク評価から得られたデータを活用しています。サプライチェーンにおける強制労働と労働者虐待に関連するリスクに焦点を当て、サプライチェーンにおける強制労働リスクに対処するためのデューディリジェンスの最も重要な側面について、企業がとるべき具体的なステップの明確なガイダンスと事例を提供しています。
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本書では、特定の問題におけるグッドプラクティスの事例として企業の実践例を紹介していますが、それは当該企業のサプライチェーンにおける強制労働への取り組みを全面的に支持していることを意味するわけではありません。紹介している事例は、期待されるパフォーマンス目標に向けた前向きな取り組みですが、改善の余地がない最良の取り組みだという評価ではありません。
KnowTheChainは、大規模なグローバル・サプライチェーンには強制労働が潜んでいるという前提のもとに活動しており、本書での紹介が、当該企業のサプライチェーンに「奴隷労働が一切ない」ことを示すものではありません。各企業の人権への影響や過去の申し立てへの対応については、ビジネスと人権リソースセンターのウェブサイトをご参照ください。
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2023年アパレル・フットウェアセクターベンチマーク
世界の大手アパレル・フットウェア65社を対象に、サプライチェーン上の強制労働に対処するための取り組みを評価したところ、人権侵害に事後的にしか対応せず、予防的な人権・環境デューディリジェンスを確固たる形で事業活動に組み込み、実施するには至っていないことがわかりました。
2022年KnowTheChain情報通信技術(ICT)部門ベンチマーク
グローバル企業60社を対象に、サプライチェーン上の強制労働に対処するための各社の取り組みを評価したところ、大半の企業が、サプライチェーンにおける強制労働のリスクやインパクトに対処するための効果的なデューディリジェンスの実施を示すことができませんでした。 スコアの中央値は100点中わずか14点で、調達行動と労働者の声に関する評価が最も低いスコアでした。
2023年KnowTheChain食品・飲料セクターベンチマーク
食品・飲料セクターのグローバル大手60社の平均スコアは100点中16点であり、サプライチェーンの労働者を強制労働リスクから保護するために必要なデューディリジェンスがいまだ不十分であることが明らかになりました。ベンチマークを始めてから6年が経過しましたが、この分野での進歩は停滞しています。地理的・政治的・気候的な危機も相まって、懸念材料となっています。