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ブリーフィング

2023年11月15日

2023年版 再生可能エネルギーと人権ベンチマーク

Shutterstock (licensed)

気候変動は人権にとって最大のリスクです。この課題に対処するためには、今後数年から数十年の間にあらゆる地域で、これまでにないような再生可能エネルギープロジェクトの展開が必要です。このような変化は、民間企業や政府、そして世界のエネルギー転換を支える地域社会や労働者に大きな可能性をもたらします。その一方で、エネルギー転換のスピードと規模には、環境、生活、土地、先住民の権利と文化、労働権への影響がすでに表面化しているように、社会的信頼を揺るがす危害のリスクも伴っています。

「再生可能エネルギーと人権ベンチマーク」第3版では、再生可能エネルギーのバリューチェーンに属する28社(機器メーカーから開発企業までを含む)の人権に関する方針と実践に焦点を当てています。

主な調査結果

  • 現在、メーカーとプロジェクト開発会社の両方で、8社人権と環境擁護者の権利を尊重するための具体的な方針を定めており、この重要な分野における政策レベルでの進歩を示しています。
  • 各カテゴリーの最高スコアは電力会社で34%、独立系発電事業者で21%、石油・ガス会社で30%、製造業で39%と低く、セクター全体として人権へのコミットメントと実践の大幅な改善が必要であることを示しています。
  • 深刻な申し立てが件数が最も多いにもかかわらず、先住民族の権利およびに土地の権利に関する方針と実践は依然として不十分でした。土地の権利の尊重にコミットしているのは、わずか2社(オーステッドとアクシオナ・エナジー)です。一方で、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(PIC)含む先住民族の権利の尊重を明確に表明しているのは2社(オーステッドとEDFリニューアブルズ)だけでした。
  • 地元コミュニティとの潜在的な利益や所有権分与の合意を確認することを政策レベルで公言しているプロジェクト開発企業ゼロでした。
  • 新疆ウイグル自治区における強制労働リスクの深刻な問題は、国連機関によって文書化されており、ソーラーサプライチェーンの透明性を早急に確保する必要があります。現在のところ本ベンチマークでは、ソーラーパネルのサプライチェーンをすべて公開している企業はゼロでした。
  • ソーラーパネル製造企業は、風力発電企業に比べて、人権に関するコミットメントや実践の面で大きく遅れをとっています。 人権に関する強いコミットメントを掲げているのは、太陽光発電メーカー6社中わずか2社(ファースト・ソーラーとトリナ・ソーラー)のみです。
  • 再生可能エネルギーのプロジェクトに関わる石油・ガス部門企業(bp、シェル、トタルエナジー)にとって、唯一最大の人権問題は1.5℃目標の達成に向けた確実な移行計画の欠如です。

評価方法

  • 再生可能エネルギーと人権ベンチマークは、風力・太陽光発電セクターの主要上場企業28社を対象にランク付けしています。ベンチマークに含まれる企業の範囲については「方法論」を参照してください。
  • 企業の評価カテゴリーは、ワールドベンチマークアライアンス(WBA)の石油・ガス・ベンチマークに基づき、ACTの手法を用いて、電力会社と石油・ガス会社のエネルギー生産ポートフォリオの完全脱炭素化に向けた取り組みの総合評価を可能にするように設定されています。そのため、異なるプロジェクト開発企業のサブカテゴリー(電力会社、石油・ガス会社、独立系発電会社)間の企業スコアは比較対象とすべきではありません。
  • 設備(風力タービン、ソーラーパネル)企業のスコアは、再生可能エネルギーのバリューチェーンにおける位置づけを反映した指標となっているため、プロジェクト開発企業のスコアと比較すべきではありません
  • ブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズとエネル・グリーン・パワーは、締め切り後にベンチマークに関連する追加情報を共有しました。

上記のグラフで企業名をクリックするか、各企業のページで、個別のスコアカードにアクセスができます

提言

本ベンチマークでは、企業、政府、政策立案者、投資家に対して、以下に関連する具体的な提言を行っています。

  • 繁栄の共有と「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)を含む、先住民族の権利
  • 人権と労働の権利、強制労働のリスク、先住民族と人権擁護者の権利に対するデューディリジェンスを含む、企業と投資家の責任
  • 労働者、先住民、コミュニティとの公正な交渉
  • 責任あるロビー活動
  • 低炭素化に向けた計画

具体的な提言については、調査結果報告書を参照してください。

スコアデータのダウンロード

結果のサマリーを見る

ビジネスと投資における人権のための公正なエネルギー転換の原則

公正なエネルギー転換の原則

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