ファッション業界と結社の自由
工場は、新型コロナウイルスを口実に結社の自由を侵害しました。工場側からは、現状は非常に悪く、十分な受注がなく、もしあなたが話したり質問したりしたら、何もできない、工場を閉鎖せざるを得ないと言われました。こうして、組合を沈黙させたのです。インドの衣料労働組合(GLU)の活動家、ラジュ氏
Shutterstock
ディーセント・ワークと生活賃金を求めて組合活動を行う労働者の権利は、低賃金で私たちの衣服や靴を作っている何百万人もの女性労働者の地位向上のために不可欠なものです。新型コロナウイルスというストレスの中で、この権利は重要性をより一層高めています。
私たちは、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、スリランカで、24人の労働組合幹部にインタビューを行い、124人の組合活動家と労働擁護者を対象に調査を実施しました。調査回答者の 3 分の2 (61%) 近くが、結社の自由と団体交渉を取り巻く状況は、パンデミック以来「悪化した」と報告しています。回答者のほぼ半数 (48%) が、労働組合員に対する差別、脅迫、嫌がらせが増加していることを明らかにしました。
この調査報告では、13の工場で起きた組合妨害やそれらに関連する人権侵害の疑いに焦点を当てています。これらの工場は、adidas、Asda、Benetton Group、BESTSELLER、C&A、Sainsbury's、ETAM、H&M、HUGO BOSS、J.Crew、OVS SpA、Mango、Next、Primark、Under Armourなど、少なくとも15のグローバルファッションブランドや販売業者に製品を納入している、もしくは最近納入した実績があります。
本報告では、労働組合幹部たちが差別、脅迫、暴力、冤罪、逮捕に直面し続けていること、そして工場側が新型コロナウイルスを口実にこうした攻撃や団結活動の弾圧、団体交渉協定の停止といった試みを執拗に続けていることを明らかにしています。パンデミック初期に急増した労働組合権の抑圧は今では常態化し、衣料労働者に深刻な影響を及ぼしています。女性労働者は集団的発言権や保護がなければ、更なる賃金の低下、より不安定な仕事状況、長時間労働、工場での人権侵害やハラスメントに直面します。
これらの調査結果は、サプライチェーン全体で結社の自由の権利を確実に保護するために、政府、ブランド、サプライヤーがアクションを起こす必要性を示しています。さらに、社会的監査を超えたデューディリジェンス、結社の自由の保護に向けたファッションブランドとサプライヤーの積極的な関与、人権デューディリジェンスのための強制的な枠組みの導入が必須であることを明示しています。ブランドとサプライヤーは、主要なステークホルダー間の団体交渉や拘束力のある合意を通じて、労働者やその代表者と誠実に対話することが求められています。