[Israel/OPT: Dutch Investor pushes for human rights safeguards to stop use of surveillance technology against Palestinians] 2024年7月4日

[英文和訳：ビジネスと人権リソースセンター]

占領下にある東エルサレムにオランダTKHグループ製の監視カメラが設置されていることを受け、大手投資会社ASNインパクト・インベスターズは、TKHグループに対し人権擁護方針の導入を要求した。

ASNインパクト・インベスターズは、TKHグループが1年以内に人権デューディリジェンス方針を策定しなければ、投資を打ち切ることになると表明している。

国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは、投資家が投資先企業に対して説明責任を果たすよう促す良い先例となるとして、この動きを歓迎している。

ちょうど1年前、アムネスティ・インターナショナルは『アパルトヘイトの自動化：顔認証技術がいかにパレスチナ被占領地（OPT）のパレスチナ人を分断、隔離、統制しているか』という報告書を発表し、イスラエル当局による巨大な顔認証カメラネットワークがいかにヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の人権を侵害し、アパルトヘイト体制の確立に寄与しているかを明らかにした。

アムネスティ・インターナショナルのシリコンバレー・イニシアティブ暫定責任者であり、AIと人権に関する研究者でもあるマット・マフムーディ氏は、「（TKHグループ傘下の）TKHセキュリティのような企業が監視技術を開発・販売できるようにリソースを提供してるは投資家だ。人権侵害のリスクが高まっている場合は特に、投資家が警戒を強めることが重要になる」と述べた。

また、「このことは、イスラエル当局が監視技術を利用して、移動の自由、結社の自由、平和的集会の自由への弾圧をエスカレートさせている現状下、喫緊の課題である。イスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害行為、特に人道に対する罪であるアパルトヘイトを強化する目的で使用されるハードウェアやソフトウェアを提供することは、いかなる状況においても容認されてはならない」とも強調している。

『アパルトエイトの自動化』の調査結果について、ASNインパクト・インベスターズはアムネスティ・インターナショナルに以下の回答を寄せた。

「ASNインパクト・インベスターズは、今後同様の取引が行われるのを防ぐため、適切なデューディリジェンス方針を策定するようTKHグループに積極的に働きかけることを決定した。具体的には、TKHグループが1年以内にこの要求を満たさない場合、投資を打ち切ることになる。これはASNインパクト・インベスターズのとりうる最も厳しい手段だ」

アムネスティの報告書『アパルトヘイトの自動化』によれば、占領下の東エルサレムで使用されている顔認証システムのCCTVカメラはTKHグループ製のマバト2000である可能性が高い。このシステムは2000年に導入され、2017年以降大幅にアップグレードされて顔認証機能が組み込まれた。この結果、イスラエル当局は東エルサレムのパレスチナ人の日常生活を管理・監視するという前例のない権限を手に入れ、移動の自由や表現・結社・平和的集会の自由に対する恣意的な制限に拍車がかかった。

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2021年4月、アムネスティ・インターナショナルは、占領下の東エルサレムでイスラエル警察が運営するインフラにTKH製CCTVカメラが設置されていることを確認した。アムネスティ・インターナショナルはTKHに対し、イスラエルの治安部隊（間接的な関係を含め）が使用しているTKHセキュリティ製品の性質、同社の人権デューディリジェンス手続き、顔認証製品を開発・販売しないという公約の有無やその意思について質問したが、回答は得られてない。

同社に人権デューディリジェンスの強化に対する明確な姿勢とコミットメントが欠如している状況で、ASNの決定は企業の説明責任を確保する上で重要な一歩である。