日本:UNDP局長、日本企業はサプライチェーンにおける人権問題に取り組む必要があると指摘
[Japan firms must address human rights in supply chains: UNDP director] 2023年2月4日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
日本企業はビジネスにおける人権問題にもっと取り組む必要がある。国際的な倫理基準に追いつけない場合、グローバル市場での事業展開に深刻なリスクが生じるからだ、と国連開発計画(UNDP)の局長が述べた。
UNDPの岡井朝子危機対応局長は最近のインタビューで、「企業がこの問題に正しい方法で取り組まなければ、ヨーロッパやアメリカの市場から締め出される可能性があります」と述べた。
例えば、アパレル、繊維、ソーラーパネルといった業界の世界中の企業は、自社の製品に中国の新疆ウイグル自治区産の材料が含まれていないかどうか、サプライチェーンを精査している。この地域は、ソーラーパネルに使用する綿花やポリシリコンの生産地として知られている。
国連人権高等弁務官事務所は昨年の報告書で、ウイグル族や「他の大多数のイスラム教徒のコミュニティ 」に対する「深刻な人権侵害」が行われていると結論付けたが、北京側はその疑惑を否定している。
[...]岡井氏は、 UNDPも同自治区の状況を注視しているという。
「中国がビジネスや人権に関するデューディリジェンス研修を望むのであれば、私たちはそのような取り組みを支援することができます」と述べ、現在はこの問題に関する具体的な動きやプロジェクトはないことを付け加えた。
特に欧州各国や米国では、サプライチェーンから強制労働などの人権侵害を根絶するためのルール作りが積極的に進められている。
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UNDPは、企業が事業やサプライチェーンにおける潜在的な人権侵害を防止、緩和、説明できるよう、新しい人権デューディリジェンスのトレーニング教材とツールを発表した。
日本政府は昨年9月、「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を発表し、国内で事業を行う企業に対し、人権方針の策定、人権デューディリジェンスの実施、事業者が人権に負の影響を与える状況を引き起こしたり助長したりした場合の救済措置の提供を求めている。
岡井氏は、日本では人材や資金の不足もあり、下請け企業や中小企業で人権アセスメントの考え方があまり共有されていないと指摘する。
「膨大な作業量と費用がかかるが、努力することで企業ブランドの向上につながる」と岡井氏は語った。
また、アフリカなどの鉱業は、脱炭素社会に向けたバッテリーなどの製品に必要な鉱物を確保するためのグローバルな競争の中で、児童労働など人権侵害のリスクが高い産業であると岡井は付け加えた。