ロシア:厳しい制裁にもかかわらず、再輸出を経由する「抜け穴」を使った制裁回避で輸入の水準が戦前に近づいていることが明らかに
[Sanctions hole’: how secretive routes supply Russia with western tech and consumer goods] 2024年6月12日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
ウラジミール・プーチン大統領のウクライナ侵攻以来、西側諸国はロシアに対して何千もの制裁を課し、地球上で最も厳しい制裁を受けている国という不名誉を与えた。
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しかし、2年経った今、ロシア経済は驚くべき回復力を見せており、専門家は長期的には持続不可能だと指摘していものの、世界の先進国の大半よりも速いペースで成長すると予測されている。ロシア経済を抑制する取り組みが注目される中、イタリアで開催されたG7で米国は、一連の新たな「影響力のある」制裁措置と輸出規制を発表すると述べた。
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米国財務省が戦争関連の輸入品の輸送を支援する金融機関を標的にするとの報道を受け、制裁を課さずロシアへの商品やサービスの供給を促進している国の銀行に注目が集まる可能性が高い。
ロシア経済はこうした輸入によって部分的に支えられてきた。
ロシア税関当局の内部データによると、輸入の価格はかなり上昇しているものの、戦前の水準に近づいていると研究者らは述べている。こうした輸入品は航空産業や自動車産業など脆弱な産業を支えるのに役立ってきた。
オブザーバーはこれを「制裁の抜け穴」と呼んでいる。半導体から航空機部品、iPhoneに至るまで、あらゆるものが中国、トルコ、UAEの企業を経由して、あるいはアルメニア、カザフスタンなどの旧ソ連諸国を経由してロシアに再輸出される可能性がある。
その中には、戦争に利用されるマイクロチップなど、厳しく精査された品目もあり、ザイリンクスやテキサス・インスツルメンツなどの米国メーカー製のものや、インテルのプロセッサーなどがある。データによると、こうした技術は香港や中国の企業に購入され、ロシアに再輸出されることが多い。
「ロシアのウクライナ侵攻はEUの統治危機を露呈させ、EUは戦争を助長する存在となった」とブルッキングス研究所の上級研究員ロビン・ブルックス氏はロシアの制裁回避に関するウェビナーで述べた。
輸出規制の有効性を追跡してきたブルックス氏は、戦争開始以来5,100%増加したドイツのキルギスタンへの自動車輸出などの例を指摘した。
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研究により、ロシア軍がこれらの抜け穴を利用して西洋の重要な軍事技術を入手していることが明らかになっている。
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米国とEUは最近、ロシアと貿易を行っている中間国の企業や銀行に対する取り組みを強化している。
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「米国は銀行に対し、中国から、あるいは中国経由での軍民両用物品の再輸出問題に対処するようますます圧力をかけている。それがなければ、戦場用の物資はロシアに止まることなく流れていくだろう」と国際戦略研究所の制裁問題上級研究員マリア・シャギナ氏は述べた。
しかし、ロシアの制裁回避に不可欠な国々の中には、西洋諸国の圧力に抵抗している国もある。
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