化石燃料に依存しているファッション業界を加速させるものとは?
[What Fuels Fashion? New report finds big fashion is falling short of much-needed climate investments] 2024年8月1日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
ファッション業界だけで1.5℃目標の上限を50%超過することになり、排出量は科学的に基づいて半減させるよう叫ばれているにもかかわらず、倍増している。
ファッションは地球上で最も汚染された業界のひとつである。私たちの衣服が気候危機に加担しており、製造に携わる人々はその代償を払っている。ファッション業界は、合成繊維をはじめ、衣服の染色や製造工場の電力に使われるエネルギーに至るまで、全ての段階で化石燃料に依存している。そのような状況でも解決策は存在する。ファッションブランドは太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーに移行することで、カーボンフットプリントを大幅に削減し、より持続可能な業界への転換を促進することができる。この転換は単に環境を保護するだけでなく、すべての人、特に気候危機の影響を最も受けやすい人々にとって、より安全で公平な未来を確保することも意味する。
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本報告書では、何十年もの間ファッション業界を苦しめてきたトップダウンで植民地的な力関係に終止符を打つよう要求している。よりクリーンで再生可能な生産への転換の最前線には、影響を受けるコミュニティに対する正義と尊重が不可欠である。ブランドは、自社の製品を生産する人々に対する責任を認識し、それが「公正な移行」であることを保証しなければならない。これは、人々や地球を搾取して巨額の富を築いてきた大手ファッションブランドや小売業者ができる最低限のことである。
本報告書の発表により、大規模なファッション業界は、曖昧で不十分な目標や、サプライチェーンの大多数に利益をもたらさない試験的プロジェクトによって、脱炭素化に向けた進捗の欠如を隠蔽することは出来なくなる。構造的な点の絶対的な改革の必要性は否定できない。そのため、我々は大手ファッションブランドに対して排出量に見合った投資を要求している。本報告書では大手ファッションブランドに対して、クリーンな方法でファッションのサプライチェーンに動力を供給するため、石炭などの化石燃料から風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの公正な移行に、年間収益の少なくとも2%を投資するよう求めている。
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主な調査結果
- 排出削減目標を開示する大手ファッションブランドや小売業者が増える一方で、スコープ3(原材料仕入れや販売後に排出される温室効果ガス)の排出量は依然として増加している。
- 世界最大のファッションブランドの4分の1近く(24%)が脱炭素化について何も開示していない。これは気候危機が彼らにとって優先事項ではないことを示している。
- [...] 86%のブランドは、期限付きで測定可能な脱石炭目標を公開していない。
- [...] 大手ファッションブランドと小売業者の95%が、サプライチェーンで使用されている燃料について明確にしていない。
- 一次工場のリストを公開しているブランドはわずか52%で、加工工場のリストを公開している割合はさらに少ない。
- 衣料品の生産が過剰であることを示す証拠があるにもかかわらず、ファッション業界は衣服の生産量と生産過程で発生する排出量を公表せず、説明責任を回避している。
- いわゆる「持続可能」な衣服は、依然として化石燃料を使用して生産されている可能性がある。
- 公正でクリーンなエネルギーへの移行を支援する法律を推進するために、その多大な影響力を行使しているブランドはごくわずかである。
- 労働者は気候危機のためにますます暮らしを失いつつあるが、補償を受けられていない。
- ファッション業界の幹部は、脱炭素化を含む全てのことよりも株主価値の提供を優先するよう依然として動機付けされている。
- ファッション業界の脱炭素化には、安定した長期的な購買活動が不可欠である。