社会的監査の法的責任:社会的保証の弱点を補うためのハードロー戦略
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当然のことながら、企業のサプライチェーンにおける人権侵害が許容され続けてきた責任の一端を担っているとして、社会的監査業界には厳しい目が向けられています。今こそ、社会的監査業界は、労働者に対する人権侵害の真実を隠して虚偽やずさんな主張を行ってきた責任を問われるべき時です。 今回の 企業の法的責任に関する報告書では、社会的監査企業に人権侵害の法的責任を負わせる機会と課題について検討しています。報告書では、社会的監査企業および関連する認証制度に対してこれまでに提起された民事および刑事上の請求に関する法的分析を行い、責任を問うのための潜在的な戦略を探っています。また、社会的監査の不備によって被害が生じた場合に、人権侵害の被害者が社会的監査企業に対して救済を求めることができるようにするために必要な法的および契約上の改革についても説明しています。
本報告書の主要点は以下の通りです:
(1) 社会的監査企業に対して法的な請求を行うことは、社会的監査業界に法的責任を負わせる方法として、現時点ではほとんど前例がありません。
現在までに法的請求が行われたのは2件のみですが、 どちらの訴訟においても、結果的に法的責任は認められませんでした。 しかし、これらの結果は、社会的監査企業が現行法の下で責任を負わないことを意味するものではありません。本報告書では、不法行為法、契約法、および米国の人身取引被害者保護再授権法 (TVPRA)に基づく社会的監査企業の責任に関する潜在的な戦略を概説しています。いずれにせよ、まだまだ課題は存在します。社会的監査企業の法的説明責任を確保するための取り組みには、契約法と法律の改正が必要です。
(2) 認証制度に対する消費者からのクレームは、認証制度の 「フェア・ウォッシング」につながる可能性があります。
現在までに認証制度に対して行われた訴訟は、米ワシントン州で提起された1件のみです。米国の一部の州の消費者保護法は、認証制度に対する申し立てに有利に働くようです。しかし、重要なことは、消費者からの請求では、影響を受けた労働者やコミュニティが法的救済を受けることはできないということです。
(3) 社会的監査企業は 人権・環境デューデリジェンスを義務づける法律(mHREDD法) の対象にならなければなりません。
社会的監査企業は、企業としての立場から、mHREDD法とそれに対応する責任体制に従わなければなりません。
(4) 社会的監査や各種認証は人権デューデリジェンスと同等ではありません。
人権デューデリジェンスは、そのアプローチ、範囲や目標において、社会的監査と根本的に異なります。 新たに導入される法規制では、社会的監査を人権デューデリジェンスと同等とみなしたり、妥当な代替策として認めたりしてはなりません。
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