茶産業における企業の説明責任強化に向けて
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茶産業は厳しい状況に直面しています。世界的な供給過剰の影響を受けて生産コストは上昇し続ける一方、価格は低迷の一途をたどっています。気候変動は存続的な脅威となり、茶葉の成長環境はより厳しく、より予見しにくいものになっているのが現状です。現在の厳しい経済状況の代償を払うのは、労働者とそのコミュニティです。劣悪な賃金と引き換えの危険な摘み取り作業、組織的なセクハラや暴力、さらには経営者が不採算の農園を放棄することによって、労働者は生計や住居、食料供給を失うことさえあります。
一方で、消費者に茶葉を販売する多国籍企業は巨額の利益を上げ続けています。リソースセンターが提供する茶産業の透明性追跡トラッカーとOpen Supply Hubが保有するデータから、2022年に確認されたサプライヤーレベルでの人権侵害の公的申し立て70件に対して16社の茶葉バイヤーが関係していることが判明しました。インド、スリランカ、バングラデシュ、ケニア、ウガンダの農園や工場からの申し立ては、「結社の自由権」「健康と安全の侵害」「賃金・福利厚生・生活水準の侵害」という3つの主要カテゴリーに分類することができます。
本報告書では、大手茶葉企業に対して、国連のビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)への責任の遂行、新たな法的要件の遵守、サプライチェーンにおける労働者の福祉の保障に向けて、より具体的な行動を起こすことの必要性を指摘しています。また、茶葉バイヤーや政策立案者へに対して、いくつかの提言を示しています。