[市民社会の共同書簡：COP26は気候変動と現代奴隷にどのように取り組むことができるか] 2021年10月26日

[ 英文和訳：ビジネスと人権リソースセンター ]

"CC: 国連気候変動枠組条約事務局長 パトリシア・エスピノサ殿

アロック・シャルマ議長殿

COP26は、気候変動と現代奴隷にどのように取り組むことができるでしょうか。

世界は気候破壊を経験し、人権と尊厳が提供されない時代になっています。何かが壊れており、現状維持では解決できません。

この10年は、気候変動を集団で抑制するとともに、社会をより平等で公正なものにしていかなければなりません。さもなければ、世界的な大流行から抜け出せず、気候変動と貧困の緊急事態に陥り、すでに周縁化されている人々が、強制労働、児童奴隷、強制結婚、人身売買などで搾取されることになるでしょう。

COP26 では、人権を統合、擁護、拡大し、最も影響を受け、周縁化され、差別されている人々のニーズを優先して不平等を是正する、グローバルで公正かつ変革的な復興というビジョンを実現しなければなりません。

また、COP26は、パリ協定の重要な試金石であり、世界各国の政府が気候危機への対応のために野心を高める機会でもあります。

COP26に向けた、各国政府に対し、以下を提言します。

• 気候変動によって引き起こされる移住と現代奴隷との関連性を認識し、気候目標に行動として盛り込み、緑の気候基金（GCF）に移住と現代奴隷に関連する対応のための資金を設ける。
• 適応委員会を通じた国が決定する貢献（NDC）と国別適応計画に、気候変動に起因する移住・移転と現代奴隷制対の進捗状況を盛り込み、追跡する。
• 気候変動の悪影響に関連した移転を回避、最小化、対処するためのワルシャワ国際メカニズムの移転に関するタスクフォース（WIM TFD）の提言において、気候変動によって誘発される現代奴隷のリスクに対処する必要性を考慮する。
• 持続可能な再生可能エネルギーへの公正な移行を機会として、再生可能エネルギー分野のすべての労働者にディーセント・ワークを提供し、鉱物の採掘やソーラーパネルの製造、再生可能エネルギーのサプライチェーンにおいて強制労働が行われている事例に取り組む。

気候変動の影響により、現代奴隷に対する脆弱性がすでに高まっていることを証拠は示しています。社会経済的、政治的、文化的、制度的なリスクが重なり合って脆弱性を形成していますが、気候変動の影響や環境の悪化によってさらに悪化することがますます明らかになっています。

また、気候変動の影響を受けやすい産業では、強制労働がしばしば見られます。世界の多くの地域では、資源採掘と輸出志向のアグリビジネスを基盤とした開発モデルが、土地や資源の独占、土壌・大気・水の汚染、生態系の破壊、移転の促進などにより、搾取と現代奴隷に対する脆弱性を悪化させています。

さらに、低所得国は、最も深刻な気候変動の影響にさらされており、適応能力が最も低く、洪水、干ばつ、熱波、サイクロン、海面上昇などによる損失や損害からの回復が最も困難です。

多くの場合、これらの状況により、人々は移住を余儀なくされ、生計を立てられなくなった土地や仕事を離れることになります。その結果、搾取や人身売買、現代奴隷の対象となるケースが増えています。世界銀行は、気候変動への対策が講じられなければ、2050年までに世界のわずか3地域で1億4,300万人もの人々が国境を越えて移住すると予測しています。IDMCとUNICEF UKによると、2020年には3,010万人の気象関連の避難民が発生し、そのうち980万人の子どもに影響を与えています。

気候変動の影響や現代奴隷に対する脆弱な人々のレジリエンスを共に高める、社会的、経済的、環境的な統合された対応が必要です [...]"