COP29:気候変動の影響を受けやすいの国々の代表者を超える数の化石燃料ロビイストが参加したことに懸念の声
[More than 1,700 oil and gas lobbyists at COP29: Which European delegations invited them?] 2024年11月15日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
2024年11月にアゼルバイジャンで開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)では、1,773人もの化石燃料ロビイストの参加が許可された。
Kick Big Polluters Out(KBPO)連合の分析によると、この人数は気候変動の影響を最も受けやすい10カ国の代表者数の合計を上回っている。仮に化石燃料ロビイストを「1つの国」とすると、全参加国中で4番目に大きな代表団に相当する。
つまり、今回の会議では、化石燃料産業が引き起こした影響に苦しむ途上国や先住民族、科学者など気候危機の最前線に立つ人々を、同業界関係者が数で「圧倒」していたことになる。
ロビイストより大きな代表団を出したのは開催国のアゼルバイジャン、COP30開催国のブラジル、トルコの3カ国のみであった。
「化石燃料ロビーが気候変動交渉を牛耳っている状況は、地球の未来を毒蛇に絡め取られているようなものだ」と、KBPO連合のニミオ・バセイ氏は指摘する。
「私たちは彼らの欺瞞を暴き、影響力を排除し、地球に対する違反行為の代償を支払わせるために断固とした行動を取らなければならない。今こそ、汚染者の利益ではなく、正義と持続可能性のために戦ってきた人々の声を優先すべき時なのだ」
化石燃料ロビイストはなぜ参加できたのか?
KBPOの分析によると、COP29に参加した化石燃料ロビイストの大多数は業界団体の一員として参加を許可されていた。ロビイスト数が最も多い上位10の業界団体のうち8つは、グローバルノース(先進国)に属していた。[...]
その他のロビイストは各国の代表団に同行して参加していた。たとえば、
- イタリアはエネルギー企業EniやEnelの社員を招待
- 日本は石炭権益を保有する住友商事の代表を同行
- カナダはSuncorやTourmalineの代表者を同行
- 英国は、今年の会議で気候変動のリーダーとしての立場を確立しようとしているにもかかわらず、20人もの化石燃料ロビイストを派遣
なお、この分析は化石燃料ロビイストのみを対象にしており、金融、アグリビジネス、運輸など他の業界のロビイストは含まれていない。[...]
「憂慮する科学者同盟(UCS)」の気候・エネルギープログラムの責任者キャシー・マルヴィー氏は、20年以上にわたり国連会議における産業界の影響を監視してきた。彼女は次のように述べる。
「化石燃料産業(のロビイスト)がCOP29に大挙して参加しているのは、この会議が彼らにとって重大な意味を持つことを示している。彼らは自分たちが失うものに危機感を抱き、自分たちの利益をいかに確保しようかと躍起になっている」
石油・ガス産業は化石燃料の段階的廃止を遅らせるためにロビー活動を続ける一方で、クリーンエネルギーへの移行に便乗し、2030年の気候目標達成には寄与しないであろう技術に対し、政府補助金を要求し、自社の利益に取り込もうとしているとマーヴィー氏は指摘する。彼女は、グローバルサウス(途上国)向けの気候資金を「騙し取ろうとする」化石燃料産業のあらゆる試みに抵抗しなければならないと述べた。
クリスティアナ・フィゲレス元国連気候変動枠組み条約事務局長は次のように述べた。
「科学機関、先住民族、脆弱国の代表よりも化石燃料ロビイストの人数がはるかに上回っているという事実は、COP参加者構成の構造的不均衡を示している。[…]COPプロセスの大幅な改革を通じて、最も影響を受けている人々の声が十分に反映される仕組みを作らなければ、公正な移行を実現することはできない」[...]