EU:欧州企業の説明責任に関する実効的な法整備を求めて100を超える企業・投資機関が声明を発表

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2022年2月、100を超える企業や投資機関、事業団体、イニシアチブが、「持続可能なコーポレートガバナンス(Sustainable Corporate Governance)」の取り組みの一環として、人権・環境デューディリジェンスの義務化(mHREDD)に向けた法整備の提案を速やかに採択するようEUに要求する共同声明を発表した。アビバやダノン、エリクソン、イケア、ハパックロイド、ファウデをはじめ声明に署名した団体は、二度先延ばしにされている同提案が頓挫することに懸念を表明した。今のところ、同提案は今月末までに発表される予定になっている。
多くの中小企業を含む、さまざまな業界や国の企業・投資機関が署名した今回の声明では、実効性のある法律とするために明記するべき5つの基本方針について説明されている。
- 国連ビジネスと人権指導原則(UNGP)と整合した法律とし、業界や規模のかかわらず、EU市場で事業を行うすべての企業に適用する。
- バリューチェーン全体に範囲を拡大したデューディリジェンス義務。
- 義務化される要件については、チェックマークを付けるだけでなく、無責任な調達慣行に対処し、取締役会レベルも含めた適切なガバナンス体制に組み込む。
- デューディリジェンスに不可欠な要素として、実効性がある安全なステークホルダーエンゲージメントを盛り込む。
- 厳格な民事責任規定など、説明責任に関する確かな仕組みを構築する。
EUに対しては、カカオを取り扱う企業からなる団体や、運用資産額6兆米ドルを超える94の投資機関などからも、民事責任を含むデューディリジェンスの法制化を支持する同様の声明が発表されている。
ビジネスと人権リソースセンターは、各国と地域におけるmHREDDの法制化に向けた動きを追っている。2021年にはドイツとノルウェーでmREDD法案が可決され、オランダとフィンランドでも同様の法案が審議中である。欧州の「持続可能なコーポレートガバナンス」の取り組みは、mHREDDと企業の説明責任に関して欧州全体で足並みを揃える上で重要な役割を果たし、さらには世界のバリューチェーン全体で人や地球にとってより良い成果を後押しするものとなりうる。
声明の全文は以下より閲覧可能。
声明(英語)
人権・環境デューディリジェンスの義務化に関する実効的なEU法に向けて