EU:欧州議会、デューディリジェンス法に関する見解を採択 大幅な改善はあるが法の抜け穴は依然埋まらず
[EU Parliament gives green light to corporate due diligence law, but still leaves grave loopholes], 2023年6月1日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
欧州議会はEU企業に対して、グローバルバリューチェーンにおける人権、気候、環境への被害をリスク評価し防止することを義務付ける新たな法案を賛成多数で採択した。
デューディリジェンスに関する今回の欧州議会の見解は、欧州委員会と欧州理事会による前回の提案と比較していくつかの大きな改善を盛り込んでいる。特に、企業がどのように被害に対処し、企業活動によって影響を受ける可能性のある人々とどのように協力するかを明確にすることで、ビジネスと人権に関する国際基準とより密接に整合したものとなった。さらに、企業による違法行為の時効を延長し、被害者に金銭的・法的支援を提供することで、被害者が司法にアクセスするハードルを低くしている。しかし、欧州議会は立証責任を覆すことができず、司法への大きな障壁が残っている。
この法律は欧州グリーンディール目標の骨格となるべきにもかかわらず、欧州議会は自らの環境委員会が推奨する環境保護を無視することを選択した。一方で、企業の業務遂行に強力な影響力を持つ金融部門が条文中で優遇されているのが現状である。
ECCJ(企業正義のための欧州連合)の政策担当者であるクリストファー・パッツ氏は次のように述べる。「我々は、気候変動と経済危機が連動した緊急事態に直面している。政治的妥協により、環境保護と司法へのアクセスを提供するための重要な措置が再び損なわれている。」
企業がどのように行動することが期待されているのか、その基準を設定するEUに注目が集まる。欧州議会は今度の法案審議で、司法へのアクセスに関するこれまでの努力を守り、抜け穴を塞ぎ、社会的、生態学的、地政学的圧力のストレステストに耐えられるような強固なデューディリジェンス法案を作ることが不可欠である。
「正義はみんなの自分ごと」(Justice is Everybody's Business)キャンペーンは、影響を受けるコミュニティが司法へのアクセスに直面する難しさを強調するため、欧州議会の外に高さ4メートルのモデル山を設置した。また、企業の不正行為に関する実際の裁判に参加した活動家たちが自らの経験を語った。
EUの各機関は、夏の間に最終文書の交渉に入る。