Primark、Nike、H&Mのサプライチェーンで賃金未払いの疑い
国際NGOクリーンクローゼスキャンペーンが新たに発表した報告書は、コロナ禍にあるバングラデシュ、カンボジア、インドネシアにおいて、H&M、Nike、Primarkのサプライチェーンで賃金の未払いがまん延していることを明らかにした。昨年1年にわたって相当な利益がありながら、すでにわずかな賃金で働かされていた労働者をさらなる生活不安に追い込むような経営判断を行ったことが疑われるブランドは多数あるが、これら3ブランドもその中に数えられる。金銭面での影響に加えて、発注の見通しが立たない上に、ブランド側が購入価格を引き下げたことで、衣料品労働者の労働条件が悪化した。生産目標の引き上げや危険な労働条件、経営陣によるハラスメントに関する報告が相次いでいる。
パンデミック初期には、すでに生産が始まっているものや、生産が完了した衣料品を含む推定400億米ドルに相当する商品に対する支払いをブランドや小売業者が拒否したと伝えられている。世界全体では、パンデミック以降、衣料品労働者に対する賃金や賞与、退職金の未払いは数十億ドルにものぼると推定されている。
利益を上げているにもかかわらず、衣料ブランドがサプライチェーンの労働者を保護せず、自らの購買活動によって労働条件をさらに悪化させていることを示す証言や研究が相次いでいるが(米労働人権NGOワーカーライツコンソーシアムの報告書「Fired, then Robbed」、ビジネスと人権リソースセンターの「Wage Theft and Pandemic Profits」などを参照)、今回の報告書も新たにこれらに加わることになる。
同報告書で名前が挙げられている各企業の対応は以下のとおり。H&MとNikeは、賃金に関する現地の法的要件に従って、サプライチェーンの労働者に対するすべての補償を完了したと回答。Primark は、今回の報告書の結果を真摯に受け止め、報告書で名前が挙がったサプライヤーの工場における賃金の問題について、いかなる証言も歓迎すると答えたと伝えられている。