インドネシア&日本:NGOが丸紅&子会社Musi Hutan Persada社に要望書を提出 元チャワングミリール集落住民のための支援を求める
[インドネシア・南スマトラ:強制排除された住民の生活再建支援にかかる要望書を提出] 2021年6月28日
[...]私たちはチャワングミリール集落住民とMHP社との間の土地をめぐる紛争の解決に向けて御社に働きかけてきました。2016年9月には、国際環境NGO FoE Japan、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)が、解決に向けた対話と解決に至るまでの間の避難民に対する食料などの支援を求める要望書を送付しました。また、2016年から10月から2018年3月にかけて、この要望書の送付人である三柴淳一、原田公、川上豊幸らが、御社広報部 CSR・地球環境室の方々と7回にわたり会合を持ち、この問題の解決にむけた取り組みを要請してきました。
それを受けて、MHP社は、住民に対する支援活動を行っている南スマトラのNGO、インドネシア環境フォーラム・南スマトラ(WALHI Sumatra Selatan)との会合を持ち、政府を交えた三者間で具体的な問題解決に向けた議論をすすめていくことを約束するなど、一定の努力を払ってこられました。しかし、元チャワングミリール集落住民をめぐる状況は実質的には改善されていません。生計手段を失った住民の多くは、農業労働者や日雇い労働者として、現在も不安定な日々を送っています。強制排除が住民のその後の人生に与えた影響を考えると、一刻も早い生活再建のための支援が必要だと私たちは考えます。
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- 元住民のチャワンへの帰還の可能性の検討
多くの住民はチャワンに帰還し、ゾウと共存できる村の再建を望んでいます。一方、御社はそこがゾウの生息地であり、保全区域を維持すべきとの意見が環境林業省内にあること、および、帰還後に住民とゾウとの衝突が想定されることから、住民のチャワンへの帰還に否定的です。しかし、そもそも、住民が帰還を希望している土地がゾウの保全上どの程度重要なのか、また、ゾウと住民との軋轢が回避不可能なのか否かを判断するに足る十分な生態学的知見は実のところまだありません。南スマトラ州自然資源保全局職員に確認したところ、当該地域を利用するゾウの季節的ハビタット利用パターンや食性詳細な生態学的調査はまだ行われていないということでした。したがって、まずは、MHP社および御社のイニシアティブのもと、政府組織(環境林業省など)、インドネシア環境フォーラム・南スマトラ、専門家(生態学者など)と協力しつつ、C集落住民が元居た場所に帰還し、ゾウと共存する集落を建設することが可能なのかを検討していただくこと、そして、その検討のプロセスで明らかになった知見を広く関係者に共有していただくことを要望いたします。 - 適切な代替地の提供(帰還が難しいと判断された場合)
上記の検討の結果、仮にチャワンへの帰還が難しいと判断された場合、MHP社および御社の責任において、住民の納得のゆく代替地の提供と生活基盤の整備をしていただくことを要望します。2018年1月にMHP社はチャワングミリール集落住民に移転先の提供を提案しました。移転先として挙げられたのは、別の集落の住民がMHP社と係争中の土地であり、将来、土地をめぐって当該集落住民と争いが起きる可能性のある土地でした。またこの土地は雨季によく浸水する場所でもありました。これらのことから、チャワングミリール集落住民代表らは、この移転案に反対したことはご存知の通りかと思います。代替地を提供する際には、移転がチャワングミリール集落住民および移転先周辺住民もたらす長期的な影響を考慮しつつ、最適な土地を住民との協議を重ねて選定していただくことを併せて要望いたします。 - 強制排除時に破壊された地上物への補償
上で述べた取り組みに加えて、強制排除によって破壊された地上物に対する補償をしてください。チャワンに移住してきた人たちの多くは、元居た場所に農地を持たないか、持っていてもわずかばかりの土地で、農業労働者やその他の日雇い労働者として働いたり、出稼ぎに出たりして、生計を立てていた人たちです。彼らは出身地にあった家屋やなけなしの農地を売り払い、それによって得た現金を元手にチャワンに農地を開き、家屋を建設しました。チャワングミリール集落住民が耕作・居住していた土地がたとえ「違法」に取得されたものであっても、先述の通り、彼らが労働力と資金を投入して作った農作物や家屋などの地上物に対しては彼らの財産権が認められるべきです。
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