インドネシア:投資誘致を目的とするオムニバス法、環境権や労働権が脅かされる恐れがあるとして市民社会組織や投資家が反対
2020年10月5日、インドネシア国会本会議で雇用創出オムニバス法案が可決された。政府は、同法案により国外からの投資を呼び込み、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる影響からの経済回復を後押しするものだと主張している。
しかし、労働組合や活動家、投資家からは、苦労して実現した労働権や環境保護規制を脅かす法案だと非難の声が上がっている。同法の原案では、これまで義務づけられていた出産や婚礼、洗礼、死別、生理に伴う有給休暇が廃止される。また、時間外労働は増え、これまで義務づけられていた退職金も減額される。環境保護規制も適用される範囲が狭まり、環境影響評価の実施が義務づけられるのは「高リスク」とされる事業のみとなる。
10月7日には、法案に反対する人々が3日間にわたりインドネシア全土でストライキを開始した。警察は、放水銃や催涙ガスを用いてデモ参加者の排除を試み、23名を逮捕するに至った。
2021年12月1日、インドネシアの憲法裁判所は、オムニバス法は違憲であるとし、同法案の最も有害な規定を停止させ、政府に対して2年間の猶予を与えて同法の改正を求めた。