インドネシア:最高裁の判決、亜鉛・鉛鉱山の環境許可取り消しを求める住民側の申し立てを支持
[‘Stop the stupidity’: Indonesia’s top court orders end to mine in quake zone] 2024年9月5日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
- インドネシア最高裁判所は、スマトラ島の地震多発地帯で建設中の亜鉛・鉛鉱山の環境許可の取り消しを命じた。
- この判決は、この地域は地震のリスクが極めて高く、計画中の鉱山とその廃棄物処理場は建設不可能であるという独立した科学的分析を支持した昨年の下級裁判所の決定を支持するものである。
- 採掘が計画されている北スマトラ州ダイリ地区の鉱山付近に住む住民らはこの判決を歓迎し、「このような愚行に歯止めがかかる」ことを望んでいると述べた。
- 一方で、鉱山開発業者の中国とインドネシアのスポンサーは、判決を不服として控訴する意向であり、環境省も許可取り消しの命令に従う気配はない。
最高裁判所は8月12日の判決で、プロジェクトが活断層上で計画されているため甚大な被害をもたらす可能性があるという専門家の警告を考慮し、環境許可はそもそも出るべきではなかったとする下級裁判所の判決を支持した。
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ニュースサイト、ボルケーノ・ディスカバリーのデータによると、ダイリ地区周辺では年間平均41回の地震が発生している。今年だけでもダイリ地区ではマグニチュード2以上、最大4.7の地震が27回発生している。
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専門家たちからの度重なる警告にもかかわらず、環境林業省は2022年8月にプロジェクトの環境評価を承認することを決定し、実質的に採掘の承認を意味する環境許可証を発行した。
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2023年2月、許可証の発行に対して11人の住民がジャカルタ州の行政裁判所に法的異議を申し立てた。裁判所は同年8月、当該鉱区は災害が頻発するため採掘に不適切だとして、住民を支持する判決を下した。裁判所はまた、環境省に対して環境許可を取り消すよう命じた。
しかし、プロジェクト開発起業のPTダイリ・プリマ・ミネラル社(DPM)と環境省の双方は、この判決を不服として高等行政裁判所に控訴し、同裁判所は2023年11月にDPMと環境省に有利な判決を下した。
さらにその後、住民らは最高裁判所に上告し、最高裁判所がこの問題の最終判決を下した。最高裁判所はジャカルタ州の行政裁判所が下した判決を支持し、プロジェクト開発における住民参加の欠如を指摘した。また、災害リスクに加えて、プロジェクトの環境許可がグッド・ガバナンスの一般原則に沿うものではなかったとした。
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中国はこのプロジェクトの主要な出資者であり、国営のカレン・ホールディングス・コーポレーション・リミテッド社はDPMに2億4500万ドルを融資することで今年初めに同意した。
このプロジェクトにまつわる論争にもかかわらず、カレン社が出資を決定したのは無知や誤情報に基づいている可能性が高いとダイリ地区住民のマンガトゥール氏は述べた。最高裁の判決により出資は一時停止するべきであると同氏は付け加えた。
DPMの親会社であり北京に本社を置く中国有色金属建設株式有限公司(NFC)は、裁判所の判決がプロジェクトの進捗に影響を与える可能性があると述べたが、それでもプロジェクトは継続すると主張した。
NFCによると、DPMは環境省と協力し、判決に対して控訴する予定であるという。
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