ウイグル強制労働防止法(UFLPA)適用に向けた取組に関する各社対応状況の調査
2022年6月、米国で「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」が施行された。同法は、中国の新疆ウイグル自治区から米国に商品を輸入する企業に対して、全ての製品が強制労働により生産されていないという「明確かつ説得力のある証拠」を提出するよう義務付けるものである。
ウイグル地域の強制労働撲滅連合はUFLPAの実施を歓迎する一方で、企業が強制労働に加担するリスクの高い製品が他の国や地域に流出しないよう徹底することの重要性を強調した。グローバルに調達活動を行っている企業に対しては、UFLPAを完全に遵守し、法律の要件に沿った共通のグローバル基準を、小売市場全体のサプライチェーンに適用するよう要請している。また、連合は各企業に対して、UFLPAに基づき米国への入国を拒否された製品を再輸出し、他の市場で売り捌くことを控えるよう求めている。
ビジネスと人権リソースセンターは、アパレル、ICT(情報通信技術)、ソーラー分野の56社を対象に、UFLPA適用への取り組みに関する、連合からの以下4つの質問に対して回答を要求した。対象となった企業は、ウイグル地域で活動している、取引関係がある、あるいはウイグル地域から調達を実施するリスクが高い企業としてジューイッシュ・ワールドウォッチのデータベースに掲載されており、米国内に拠点を置いている、または製品の販売を行っている企業である。日本企業では、ファーストリテイリング、ソニー、良品計画、丸紅、東洋エンジニアリングが対象となった。
- UFLPA規定の法的要件に遵守した共通のグローバル基準を適用し、サプライチェーン全体でウイグル人の強制労働を排除し、サプライチェーンを分断させないように配慮しているかどうか
- UFLPA管理下で輸入差し止め対象となった製品に関して、他の市場に再輸出しないことを確約しているかどうか
- 上記の点に取り組んでいるかどうか、また具体的にはどのような取り組みを実施しているか
- 共通のグローバル基準に準拠していない場合、米国以外の市場に輸入される製品が不正なものでないことをどのように保証しているのか
56社中、27社からの回答があった。
- ICT企業10社のうち、6社(60%)から回答があった
- ソーラー関連企業13社のうち、5社(38%)から回答があった
- アパレル企業33社のうち、16社(48%)から回答があった
- 米国アパレルフットウェア協会からもリソースセンターに連絡があり、回答を得たので以下に掲載する
特筆すべき点は、リソースセンターの働きかけに対して回答を寄せた27社のうち、UFPLAについて明確に言及したのはわずか10社のみであったことだ。