カナダ: 強制労働と児童労働に関する法案が下院で可決された一方で、企業は未だに説明責任を果たしていないとの批判の声が上がる
[MPs pass law meant to curb forced labour, as critics decry its lack of teeth] 2023年5月3日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
世界中で発生している児童労働や強制労働の実態を明らかにすることを目的とした法案が下院で可決された。この法案は、カナダの企業や政府機関に対して、自社のサプライチェーンを精査し、労働慣行を改善するための取り組みに関する公開報告書の提出を義務付けるものである。
この法案の狙いは、自社の製品や部品が労働搾取が行われている他国の工場で働く子どもたちや、過度の長時間労働を強いられた労働者によって作られていないことを保証することである。強制労働により生産された製品の輸入を禁止することを想定しており、報告義務を怠った企業には最高25万ドルの罰金が課される。[...]
ジョン・マッケイ下院議員はこの法案を現代奴隷法と呼び、「奴隷制度や最悪形態の児童労働との国際規模の戦いにおいて、カナダを後発国から先進国に前進させるための重大な役割を果たすだろう」と声明で述べている。その一方で、ブロック・ケベコワと新民主党の両党は、この措置が実際に企業の責任を問うものではなく、有害な慣行を終わらせる効力を持たないとして、批判的な見解を示している。[...]
企業の説明責任に関するカナダ・ネットワーク(Canadian Network on Corporate Accountability、CNCA)は、この法案がサプライチェーンやグローバルな事業展開における人権侵害に関して、企業に何らかの措置を義務付けるものにはなっていないことから、国会議員に対して反対票を投じるよう要請してきた。
CNCAは声明で、この法律は「政府が人権問題について具体的な対策を講じていないにもかかわらず、そのように見せかけているに過ぎない」と述べた。また、「この法律は、カナダ企業やその子会社、サプライヤーによって人権侵害を受けた人々に対して、カナダの裁判所に苦情を訴えるなどの現実的な救済措置の機会を提供するものではない」と主張している。[...]
ブロック・ケベコワと新民主党の議員はこの法案に反対票を投じた。シームス・オレガン労働担当大臣によると、このような決定を下したのは両党が「さらなる前進[...]」を望んだ結果にほかならないと述べている。
政府は3月の予算で、同法案とは別の法律を提出することを約束した。オレガン氏によると、この法律はデューディリジェンスを対象とするもので、企業がサプライチェーンにおける強制労働を検出した場合、情報に基づき行動することを義務付けるものだと説明した。[...]