レポート
グローバル:最新の調査、人権に関する基準や方針が数多く存在するも茶産業では人権侵害がやまないと報告
[ Human Rights in the Tea Sector – The Big Picture ] 2022年5月18日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
持続可能な茶のための国際円卓会議( The International Roundtable for Sustainable Tea、THIRST)の最新報告書 […] によれば、人権に関する基準や方針、条約が数多く存在し、茶産業が好況であるにもかかわらず、労働者や農民に対する人権侵害は茶産業全体に根強く残っている。
この報告書は3年かけて実施される茶産業全体の人権影響評価(HRIA)の第1フェーズで、評価に焦点を当てたものだ。分析や提言は今回の報告書には含まれず、HRIAの今後のフェーズで取り上げる予定だ。 […] 第3フェーズではアクションプランを策定し、公正で繁栄する茶産業の実現に向けた「ハイウェイマップ」を業界のステークホルダーと共に作成する。最終フェーズでは説明責任(モニタリングと進捗状況の見極め)を予定している。 […]
[…] 調査をした人権のあらゆる側面において、茶産業全体において違反があった。THIRSTの文献調査で […] 以下が判明した:
- 茶栽培地域の全域で、女性は経済面および雇用面での差別、性的虐待・強要、出産に関わる諸権利の侵害を受けている。労働組合は男性中心の傾向があるため、女性の声は耳を傾けてもらえない場合が多い。
- 複数の原産地において、茶産業は非常に収入が低いという特徴がある(国際的な貧困ラインを下回る場合が多い)。法律で定められた最低賃金を満たし、労使間の団体交渉によって合意された場合であっても、収入は極めて低い。
- 茶産業全体において、労働衛生上の危険があたりまえのように見られる。例えば、重量物を担ぐことによる筋骨の損傷、保護具なしでの農薬散布、工場で茶の粉じんにさらされることなどである。
- 茶産業においては多くの地域で労働者の住居が荒廃しており、トイレが劣悪な状況だったり、そもそもトイレがなかったりする。多くの労働者は安全な飲み水が得られないため、コレラや腸チフスを患う危険がある。その上、十分な医療も得られない場合が多い。
- 複数の国で、茶産業における強制労働や児童労働が確認されている。
- 茶栽培地域では高齢者が権利の侵害を受けやすく、退職すると家を失い、医療も受けられなくなる。