サウジアラビア:アクセス・ナウ、アマゾンのクラウドインフラ拡大を人権上の懸念から中止するよう要請
[Bad for human rights and for business: Amazon must not build cloud infrastructure in Saudi Arabia] 2024年5月6日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
2026年にサウジアラビアでクラウドインフラを構築するというアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の計画発表を受け、アクセス・ナウは同社に対して、この計画を中止し、このような動きから発生されると考えられる人権への深刻な影響に適切に対処するよう要求している。
アクセス・ナウは以前から、サウジアラビアのデジタル独裁政治、侵略的監視、度重なる人権侵害を理由に、同国におけるクラウドサービスの拡大に対して警告を発してきた。AWSも公に支持している「サウジ・ビジョン2030」改革の旗印の下、サウジ当局は「同国史上最大級の人権弾圧 」を繰り広げている。2017年以来、反体制派、人権擁護者、女性活動家など数多くの人々が基本的権利を平和的に行使したために過酷な刑に処され、虐待的な状況下で拘束されている。
「ビッグテックはサウジアラビアのゴールドラッシュに参加したがっているが、プライバシーの尊重が存在しない国にクラウド拠点を置くことは非常に危険な挑戦である」と中東・北アフリカ政策アドボカシーディレクター、マルワ・ファタフタは語る。
アクセス・ナウは、サウジアラビアで大規模なクラウドセンターを設置し事業を拡大するという同社の決定に対する人権デューディリジェンスについて、AWSに対して説明を求めた。問い合わせの中には、この拠点地域で管理されている人々の個人データを政府による違法なアクセスから保護する計画についての質問も含まれている。AWSの年次総会を数週間後に控え、クラウドインフラに関するハイテク業界の株主の監視の目が厳しくなっている中で、詳細な質問に対するAWSからの回答は手短で不十分、かつ否定的なものであった。
「グーグルやマイクロソフトと同様、アマゾンの株主は企業の透明性の不足やステークホルダーとの関与を拒む姿勢について厳しく追及する理由がある。アマゾンがサウジアラビアでの市場拡大計画における極めて明白なリスクをどのように管理するかを世間は知りたがっている」 とアクセス・ナウ投資家アドボケーター、ローラ・オッコネンは述べた。
サウジアラビア当局の基本的権利と自由に対する常習的な侵害を考慮すると、アマゾンは、そのインフラが引き起こすであろう人権侵害に対処することなく、また、これらの被害を軽減するために講じる措置を包括的に説明することなく、同国におけるAWS拠点の立ち上げ計画を進めるべきではない。