トルコ:地震で被災した縫製労働者の権利が、ブランドや工場によって蔑ろにされている
[Factories and brands disregarded workers’ rights in the wake of Türkiye’s 2023 earthquake] 2024年1月4日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
100人以上の労働者へのインタビューでは、2023年2月にトルコを襲った壊滅的な地震の後、縫製工場とそのバイヤーが労働者に自活をさせたことが明らかになった。彼らのほとんどは地震の余波で給料を全額支払われなかったため、労働者は安全に住む場所の確保や、また、働いてる工場の耐震構造の確認ができないまま、経済的必要性から職場に戻らなければならなかった。
この報告書は、2023年8月から9月にかけてガズィアンテプ、カフラマンマラシュ、マラティヤ、アドゥヤマン市の地震被害を受けた都市の労働者130人を対象に実施された調査に基づいている。
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報告書では、危険な職場、低賃金、日常的な言葉によるハラスメントなど、地震の被災者が直面している不当な労働条件について説明している。これらの問題の一部は地震前からすでに蔓延していたが、自然災害によってその影響はさらに大きくなった。工場は労働者の健康よりも海外のバイヤーへの注文に対応する必要性を優先し、地震直後、労働者を職場に戻させた。多くの工場が、労働者を復帰させる前に耐震構造の完全性を確認していなかったと労働者の50%以上が報告している。賃金の削減または打ち切り(調査対象の労働者の35%はまったく賃金を受け取っていない)によって引き起こされた経済的困難により、労働者は住居や心理的ニーズに対処する前に、工場に戻る呼びかけに応じなければいけないと感じていた。この状況は、工場管理者が従業員が戻らない場合には解雇や援助を停止すると脅したことでさらに悪化した。職場に戻ることができなかった労働者は、工場管理者が労働者を「退職した」とみなしたために、場合によっては何年も積み立ててきた退職金の権利を失うことが多発した。
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この報告書は、トルコの衣料品・縫製業界の雇用主と世界中の衣料品ブランドに対し、気候変動によって予想される洪水や暴風雨など、将来の災害に確実に備えるよう求めている。これには、損傷の可能性がある建物を再び利用する前の確認や、出勤できない労働者に対する経済的保護、退職金を受ける権利の確保、そして工場内での言葉による嫌がらせや暴徒化に対処を含む、労働者の安全に対する絶対的な取り組みにコミットしなければなりません。
衣料品ブランドにとっては、災害発生後も調達関係を保ち、継続的な賃金支払いを確保し、遅れている納品に柔軟に対応することで、サプライヤー工場の労働者の状況に積極的に責任を負うこともさらに重要です。今回の地震は、緊急時に労働者が退職金やその他の解雇手当を確実に受け取れるように、ブランドと労働組合の間で拘束力のある協定を結ぶ必要があることを示しました。
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