バングラデシュ:エネルギー危機の最中、世界中の買い手からの低価格での依頼や受注減で縫製産業が危機に面している
バングラデシュは2022年以来、ガス不足に悩まされており、2024年5月に大型サイクロン「レマル」がバングラデシュ沿岸上陸し、コックスバザール県モヘシュカリにある2つのLNGターミナルのうち1つが被害を受けた後、状況は悪化した。
その結果、工場の稼働を維持するためにガス供給に依存している製造業に影響が及び、停電が発生し、多くの工場が生産能力を削減するか、生産を継続するためにより高価な手段に頼らざるを得なくなった。
縫製産業は特にこの危機の影響を強く受けており、工場は注文や納期を満たすのに苦労しており、生産能力が最大40%低下したと報告されている。衣料品メーカーは事業規模の縮小を余儀なくされており、多くのメーカーが従業員の給与管理やローンの分割払いの返済に失敗している。
危機に対応して、国際的な買い手はスリランカやインドなど他のアパレル生産国に発注を移行していると報じられており、ある事例では5000万ドル相当の発注を他国で行っていた。これは、最大40%の受注減に直面していると報告する製造業者の証言による情報である。
さらに、進行する世界経済危機と欧米での売り上げ減少により、買い手はバングラデシュの生産コストの上昇に見合わない低価格を提示しているとの報告もある。生産コストは20~33%上昇しているが、世界の買い手は最大20%低い価格を要求している。このため、製造業者は出荷期限に間に合わず、工場は低コストの注文を断らざるを得ない状況となっている。
危機により、縫製産業は過去6か月間で、約50億~70億ドルの受注を失ったと推定されている。