ポーランド:論争の的となっているエネルギー憲章条約から脱退へ
[Poland drafts law to ‘terminate’ controversial Energy Charter Treaty] 2022年9月2日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
これまであまり知られていなかったポーランド政府の法案が、活動家の注目を集めている。エネルギー憲章条約からの脱退へと舵を切る法案である。1990年代に作成されたこの条約は化石燃料の擁護を目的とするものであり、気候危機を踏まえ破棄されるべきだと、活動家らは主張している。
「エネルギー憲章条約およびこれに関する議定書の解消」に関する法案が、2022年8月10日にポーランド政府により承認され、8月25日にマテウシュ・モラヴィエツキ首相により同国 下院(セイム)に送られた。
エネルギー憲章の投資家対国家紛争解決(ISDS)に関する条項は「EU法の自律性ならびにEU加盟国間の相互尊重の原則に対する脅威」であり、「EU法秩序における法的安定性を保つために」解消すべきだと、法案は指摘している。
夏季休暇中に公式発表なしに提出されたため、この法案はこれまであまり知られていなかった。
ポーランド政府によるこの動きは、長年にわたりエネルギー憲章条約に対する反対運動を展開してきた環境活動家たちを驚かせた。この条約は化石燃料への投資を保護するものであり、気候変動に関するパリ協定を根底から揺るがすものだとして批判の的になっていたのだ。
「ポーランド政府は、気候を脅かすエネルギー憲章条約の改革が失敗したのを受けて、正しい結論を出した。私たちは、他の条約加盟国も同様の行動をとることを強く求める」と、気候行動ネットワーク(CAN)の欧州キャンペーナーであるコーネリア・マーフィールド氏は述べている。[...]