ストーリー
ミャンマー:国軍が民主政権を転覆、多国籍企業と関連する事業や巨大複合企業を支配しているとされる上級大将に権力を委譲
2021年2月1日、ミャンマーの軍部が同国の民主政権を転覆し、アウンサンスーチー党首やウウィンミント大統領ら国民民主連盟(NLD)党首と、閣僚、複数の地域の首相、野党政治家や作家、活動家らを拘束した。
下記リンク先のニューヨークタイムズの報道によると、軍は、巨大複合企業やファミリービジネスを支配しているとされる国軍総司令官のミン・アウン・フライン上級大将に権力を委譲したと発表した。
ビジネスと人権リソースセンターは、過去に、企業の事業がミン・アウン・フライン上級大将に関連する投機的事業を通じてミャンマー軍とつながっているとの疑いに対して、企業に見解を求めてきた:
- 「ミャンマー:新調査、国軍系企業マイテル&ベトテルとの取引関係を通じ、人権侵害に加担している企業を明らかに」(2021年1月27日)では、リソースセンターは、情報通信分野における軍の組織的腐敗に関するジャスティス・フォー・ミャンマーの調査で示された疑いに対し、21社に見解を求めた。この調査は、新たな軍の調達ネットワークを明らかにし、ミャンマー軍による戦争犯罪や人道に対する罪を可能にするよう加担している企業のグローバルネットワークを指摘した。
- 「ミャンマー:ビルマ軍による残虐行為への加担を避けるよう、企業にイェイワ上流ダムプロジェクトからの事業売却を要請」(2020年9月6日)では、リソースセンターは、ミャンマー軍による残虐行為への加担を避けるため、イェイワ上流ダムプロジェクトから撤退するようシャン族人権研究所から要請された企業に対して、見解を求めた。
- 「ミャンマー:現在、国連の大量虐殺罪に直面しているビルマ軍が所有する土地でハイエンドの商業開発を進める日本企業」(2020年9月2日)では、リソースセンターは、ミャンマー軍が大量虐殺を行っているという国連の非難にもかかわらず、軍所有の土地での開発であるYコンプレックスの建設に関与しているとされる日本企業に見解を求めた。
- 「ミャンマー:国連事実調査団、深刻な人権侵害で告発された軍と関連する企業を特定;一部企業は見解を示す」(2020年2月13日)では、リソースセンターは、国連人権理事会が設置した「ミャンマーに関する国連事実調査団」の報告書「ミャンマー軍の経済的利益」(2019年8月5日)に記載されている企業に見解を求めた。報告書は、言及された企業がミャンマー軍に通常兵器および関連品目を移転するか、軍事目的のためにデュアルユースの物品および技術を調達するか、調達しようとしていると主張する。
- 「ミャンマー:キリンの子会社がミャンマー軍とビジネス関係を維持しているとの疑い;キリンが見解を示す」(2020年1月19日)では、 リソースセンターは、キリンとその子会社に対し、ミャンマー軍とのビジネスパートナーシップに関する疑いに対し、見解を求めた。リソースセンターは、最近のクーデターを踏まえて、キリンに再度、疑いへの見解を求めた。同社からの回答は以下のリンクから。
また、市民社会組織は、ミャンマー軍とつながりを持つ企業に対し、人権侵害の疑いに加担しないよう、関係を断つよう促した。
- シャン族人権財団は、イェイワ上流ダムプロジェクトに関与したとされる企業に対し、現地を確保する軍隊による残虐行為への加担を避けるよう求めている。
- 英国ビルマキャンペーンは、軍事クーデターに対する国際的な対応として、軍事会社に対する制裁と世界的な武器禁輸の支持を求める。
リソースセンターは引き続き同国の情勢を注視していく。