ワールドカップ2022:人権リスク評価およびデューディリジェンスに関して各国サッカー協会に調査を実施
背景
FIFAワールカップカタール2022まで残すところ半年となり、各国のナショナルチームや協会は、拠点とするホテルの予約や、セキュリティや移動手段といったサービスの契約など、カタールでの滞在に関連するいくつかの重要事項の決定に向けて準備を進めている。11月に始まるトーナメントには、これまでに開催国を除く28のチームの参加が決まっている。
ビジネスと人権リソースセンターのデータのエビデンス、現場のパートナーからの情報、そして最近のメディア報道は、カタールのホテルで働く移住労働者が依然として深刻な労働権侵害の高いリスクにさらされていることをいまだに伝えており、FIFAの認可を受けて豪華な観戦パッケージプランを提供するホテルでさえ、そういう状況だという。この先、さらに多くの労働者が、各国チームやサポートスタッフに移動やセキュリティのサービスを提供する企業によって雇用されるだろう。ワールドカップの成功に欠かせないホスピタリティ、建設、その他の業界において、労働者に対する人権侵害は自国での採用プロセスに始まり、職務に就いた後も続いている。
調査
2021年12月以降、ビジネスと人権リソースセンターではこれまでに参加が決まった28のチームに問い合わせをし、以下の質問に回答する形で情報提供を求めた。
- ワールドカップ・カタール2022への参加に関して、人権に関するリスク評価を実施しましたか。実施した場合、特定されたリスクの概要をご教示ください。
- ワールドカップ期間中、日本代表チームと貴協会のスタッフを受け入れるために予約したホテルの名称を開示してください。
- 貴協会がホテルを予約する前に行った、あるいはベースキャンプやその他の施設/設備(例:交通、警備、レジャー施設)を選択する準備として行っている人権デューディリジェンスの内容をご教示ください。
ベルギー、ブラジル、クロアチア、デンマーク、ドイツ、オランダ、ポーランド、スイス、米国のサッカー協会から得られた回答は、以下より全文閲覧可能。
アルゼンチン、カメルーン、カナダ、エクアドル、イングランド、フランス、ガーナ、イラン、日本、メキシコ、モロッコ、ポルトガル、サウジアラビア、セネガル、セルビア、韓国、スペイン、チュニジア、ウルグアイのサッカー協会からは回答が得られていない。
またFIFAからも以下の質問に対して回答を得た。
- ワールドカップへの参加が決まったチームのサッカー協会に大会期間中の宿泊施設が割り当てられるプロセスについて説明してください。
- 「人権条項」を通じてFIFAの「人権基準」の準拠がホテルに求められる場合、それらの基準や条項について、どのように履行・監視されるかも含め、具体的にその内容を提示してください。
残りの予選試合が行われ、トーナメントに進むナショナルチームが確定したり、現時点で回答がない協会から情報提供があり次第、当ページは更新される。トーナメントに進むチームが確定したら、当団体より各協会に上記の質問を送付する。また、大会に向けて各協会の準備が進む状況に合わせて、当ページを更新していく 。