台湾:繊維関連サプライヤー9社で強制労働と移民労働者の虐待が発覚—40社以上の取引企業との関連が問われる;企業コメントを含む

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米国のNGO Transparentem は、2024年9月に発表した暫定報告に続き、台湾の繊維産業における移民労働者の労働環境に関する詳細な報告書を公開した。
この報告書 「Following the Thread - 台湾の繊維産業における労働問題」は、2022年から2023年にかけて、台湾の繊維および関連産業のサプライヤーで働くベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ出身の移民労働者90人以上を対象に行った聞き取り調査に基づいている。調査の結果、6,000米ドル(約90万円)もの法外な斡旋手数料の請求をはじめ、国際労働機関(ILO)が「強制労働の指標」として定義する状況が確認され、移民労働者の搾取に該当するさまざまな問題が明らかになった。
Transparentemは、強制労働が確認された台湾サプライヤー(1次サプライヤーより下層のサプライヤー)9社と取引関係を持つ可能性のある40社以上の企業を特定し、調査結果を送付して対応を求めた。Transparentemは「1次サプライヤーの下層で発生する人権侵害を防ぐには、取引企業が1次サプライヤーにつながるサプライヤーすべてに対する責任を果たす必要がある」と主張している。しかし、多くの企業は、「企業の責任は、自社プロジェクトで使用される特定の素材を生産する労働者にのみ適用される」と解釈しており、サプライチェーン全体への責任拡大には消極的な姿勢を示していると、Transparentemは指摘している。
アメリカアパレル・フットウェア協会(AAFA)は、企業間で問題解決のための調整を行い、Transparentemが特定した企業以外にも、救済活動に参加する企業が増えていることを示唆した。
しかし、報告書の発表時点では、問題が発覚した場合に移民労働者への斡旋手数料の返済を誰が負担するのか、どの労働者が補償の対象となるのかなど救済措置の具体的な詳細は依然として不明確なままであるとTransparentemは指摘している。