市民社会組織、CMSI採鉱標準がコミュニティ、労働者、先住民の権利に及ぼしうるリスクについての分析結果を公開
[The Risks Posed by the Consolidated Mining Standard Initiative: a Civil Society Briefing for Automakers and other Downstream Purchasers] 2024年12月3日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
新たに提案されている「統合採鉱標準」イニシアティブ(CMSI)が、コミュニティや労働者、先住民に及ぼす潜在的な人権リスクについて分析したブリーフィングが公開された。
この「統合採鉱標準イニシアチブ(CMSI)がもたらすリスク:自動車メーカーおよびその他の下流購買者向け市民社会ブリーフィング」では、エネルギー転換サプライチェーン、特に自動車メーカーやエネルギー転換鉱物の下流購買者が直面する関連リスクにも焦点を当てている。
これは、市民社会団体、先住民権利団体、労働組織などが共同で[渡辺1] 発表したもので、Public Citizen、Oxfam、IndustriAll、Sirge Coalition、Global Witness、IPRI、Transport & Environment (T&E)、SOMO、MightyEarth、Heinrich Boell Foundation、Ecos、European Environmental Bureau、EarthWorks、EU Raw Materials Coalition など、多様な団体が参加および支持している。
この文書では、CMSIの新たな基準に関連する以下のような課題が指摘された。
- CMSIは基準が不明確:明確性の欠如は、企業の実務や効果的な監査プロセスのための実用的なガイダンスを提供する能力を損なうものである。
- 先住民の権利を保護する国際法や原則の非準拠:CMSIは先住民の権利を保護する基本的な国際法、原則、指針に準拠しておらず、先住民コミュニティに対する潜在的な人権侵害について重大な懸念が生じている。
- 既存の国際基準との不整合:CMSIは、すでに鉱業業界で広く受け入れられ、利用されている確立された国際基準と一致していないため、責任ある調達の一貫性を損なう可能性がある。
- 国際的サプライチェーン原則との不整合:CMSIは、責任ある企業行動を促すために政府が推進する国際的デューディリジェンスの原則との整合性を欠いており、サプライチェーンにおける効果的な責任ある企業行動を妨げる恐れがある。
- 監査・保証プロセスの独立性の欠如:CMSIの監査・保証プロセスは、鉱業企業に過度の管理権限と影響力を許容していることが批判されており、監査の独立性と信頼性が損なわれるリスクがある。
- 不十分な監査・保証システム:CMSIの監査システムには、ガイダンス、適切な認定、監視が欠けており、CMSIの下で実施される監査の信頼性について懸念が生じている。
- ガバナンスモデルの問題:CMSIのガバナンスの枠組みは、鉱業企業が基準の説明責任を果たす仕組みを過度に管理できる状態を許しているため、基準の有効性が損なわれる可能性がある。
- パフォーマンス向上のインセンティブ不足:CMSIには、企業が基本的なコンプライアンスを超えて社会的・環境的パフォーマンスの改善を目指すことを奨励する仕組みが欠如しているため、進歩が停滞する可能性がある。
最後に、自動車メーカーやその他の企業の下流購買者が直面する可能性のあるCMSIに関連する3つの重大なリスクが示された。
- 深刻な人権侵害や環境被害を継続的に引き起こしている鉱山にもCMSIが認証を与える可能性があり、その結果、企業の評判や運営にリスクをもたらす。
- CMSIは厳格なデューディリジェンスを十分に促進しておらず、今後EU規制への準拠が難しくなることで、罰金や市場アクセス喪失のリスクを生じさせる。
- CMSIの基準、監査・保証プロセス、ガバナンスモデルの不備が、責任ある調達の取り組みを阻害し、サプライチェーンの財務的リスクや混乱を引き起こす可能性がある。
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