日本のNGOが経産省にイェタグン・ガス田開発事業がミャンマー国軍の資金源にならないよう要請
[【要請書】(経済産業大臣宛)イェタグン・ガス田開発プロジェクトからミャンマー国軍に資金が流れないよう早急な措置を求めます] 2021年9月15日
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イェタグン・ガス田の権益は、オペレーター(事業主体)でもあるマレーシア国営企業のペトロナス・チャガ リ社が 40.9%、ミャンマー石油ガス公社(MOGE)が 20.5%、タイ政府系の PTT エクスプロレーション・アンド・ プロダクション(PTTEP)が 19.3%、そして、日本のJXミャンマー石油開発[...]が19.3%を保有しています。JXミャンマー石油開発は、日本政府(経済産業大臣)50%[...]、JX石油開発40%、三菱商事10%(2013年から参画)の共同出資会社です。
2000年に生産を開始したイェタグン・ガス田は、他のガス田と同様、当時のミャンマー軍政の重要な収入源となっていました。また、この収入は、国軍の予算も増加させていたと見られています[...]。
私たちは、ミャンマーにおけるガス田の生産に伴い、[...]ミャンマー政府に対して多くの支払い義務が生じると理解しています[...]。現状で、ガス事業関連のこうした支払いが実施されれば、武力で実質的な権力を掌握し、日本政府を含む国際社会から承認されていないミャンマー国軍の政治体制の外貨獲得につながることを強く懸念します。また、[...]現在行われている国軍による市民への弾圧に、このガス事業関連の支払いが流れてしまう可能性は否定できず、在日ミャンマー人を含む日本の納税者である私たちが国軍の弾圧に間接的に加担することとなり、容認できるものではありません。
イェタグンでのガス生産については、2021 年 4月初頭、運営を担うペトロナス・チャガリ社が技術的問題で「不可抗力宣言」 を発出し、生産を停止していました。しかし、貴省(資源エネルギー庁)が[...]寄せた回答書(2021年8月31日付)において、「その後、ガス生産設備の修理を行い、2021 年7 月21 日に生産を再開」したことが判明しました。 同回答書によれば、「複数の作業員に 新型コロナウイルスの感染が認められたため、8 月 17 日に再度生産を停止」しており、「生産再開の具体的な見込みは未定」とのことですが、基本的には、「ガス購入者との契約上、ガス供給を継続する義務があるため、」問題が解消されれば、ガス生産が再開される予定であると考えられます。
また、貴省は同回答書の中で、[...]「事業に参画する JX ミャンマー石油開発株式会社及びミャンマー石油ガス公社との間の契約上の守秘義務条項に該当するため、回答は差し控える」と、一切の情報公開を拒んでおられます。
更に、貴省は[...]「JX ミャンマー石油開発株式会社によれば、油ガスの売上の一部は、ミャンマーの法律およびペトロナス・チャリガリ社、PTTEP インターナショナル社、ミャンマー石油ガス公社との契約上の定めにより、ミャンマーの国の収入となっているが、ミャンマー軍事政権に対し、当該ガス田事業に係る資金が渡ったとの事実は承知しておらず、また、 ミャンマー国軍にその資金が渡っているのかを確認することは極めて困難」と回答をされています。
JXミャンマー石油開発株式会社との意見交換や共同出資者へ働きかけるとする一方、「国軍に資金が渡っているのかを確認することは極めて困難」と述べ、資金の流れを止める具体策は何も提示されていない中、既に生産再開を認めていたことになります。これは、現下のミャンマーの人道危機に何ら注意を払わずに、漫然と「ミャンマー国」に支払いを続ける、と明言されているに等しく、日本の市民として受け入れられるものではありません。また、日本政府がミャンマーの市民や国際社会から、国軍の人権侵害に加担している、と受け止められる懸念も強くあります。
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これらの強い懸念から、私たちは経済産業省に対し、以下の点を要請します。
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・ガス生産が再開される前に、イェタグン・ガス田の生産に伴う支払いがミャンマー国軍を直接及び間接的に利することがないよう、適切な措置を講じること。それには、民政化が実現するまで、当該支払いをミャンマー国軍がアクセスできない海外口座等に保管すること等も含まれる。国軍に資金が渡らないような措置を講じることが不可能な場合は、生産を再開すべきではない。
・イェタグン・ガス田に関するミャンマー政府への支払いに係る条件は、民間の競争力を確保するために必須の情報とは考えられないため、日本の納税者にすべて開示すること。
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