欧州:「ギグワーカー」の従業員認定を求めるEU法案を策定
[Uber, Deliveroo could be hit by draft EU rules for gig workers], 2021年12月7日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター ]
配車サービスUberや宅配サービスDeliverooなどのオンラインプラットフォーム企業は、ギグエコノミーで働く労働者の社会的権利向上を目的としたEUルール案に基づき、一部の労働者を正規従業員として認定しなおさなければならない可能性がある。ロイターによるEU関連文書の取材で分かった。[...]
オンラインプラットフォーム企業が「報酬を設定している」、「服装や行動などのルールを設定している」、「電子的手段で労働状況を監督している」、「労働時間や業務内容の選択の自由を制限している」、「第三者のための就労を禁じている」場合、ギグワーカーは従業員として認定される可能性がある。
これらの基準のうち2つを満たしていれば、そのプラットフォーム企業は雇用主とみなされる。
同規則では、配車サービスや料理宅配アプリサービスなどを提供している企業は、労働者を監視・評価したり、業務や手数料を設定したりするために用いられているアルゴリズムの仕組みについて、従業員に情報を提供することも義務づけられる。違反があれば、従業員は補償を請求できる。
同規則により、オンラインプラットフォーム企業は、この規則の対象外であるとする証拠を提供する手間がかかることになる。企業側はまた、規則対象に関する再認定に対して行政措置や訴訟を通じて異議を申し立てられる。[...]
規則案については、法制化される前にEU加盟国やEU議員による徹底的な議論が必要となるため、欧州委員会は2025年までの猶予を見込んでいる。[...]
違反した場合に科せられる罰金をはじめとする制裁措置についてはEU各国が設定するが、必要な施策を行わなかった国の政府に対しては、欧州委員会が法的措置を取る可能性がある。[...]
労働組合は、ギグエコノミーは労働者を搾取していると訴えるが、企業側は、このビジネスモデルによって柔軟な働き方を可能にしていると主張する。
[...]「今回の規則案により、ドライバーの二人に一人、つまりEU全体で少なくとも14万人近い人が職を失うことになる」と、西欧公共政策(Public Policy Western Europe)を率いるBoltのアウレリエン・ポザンナ氏は語る。
Deliverooも同様の懸念を表明した。広報担当者は、「今回の規則案は、不確実性の高まりを招き、オンラインプラットフォームで働く個人事業主よりも、法律家にとって都合の良いものだ」と述べた。