米国:ハース・オートメーション社、ロシア軍需産業との間接的な取引継続の疑惑
[U.S. company Haas appears to still indirectly supply Russian arms industry with technology] 2023年8月4日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
米国の工作機械メーカー大手ハース・オートメーション社(以下、ハース社)がロシア軍需産業への間接的技術供与をいまだに継続している可能性が浮上した。
2023年3月、米国公共サービスのニュース番組NewsHourは、ハース社が元販売代理店アバメット社を通じて、ロシア軍需産業に数百万ドル相当の技術を販売しているという疑惑を報じた。
ハース社はこの疑惑を否定し、2022年初めにモスクワがウクライナに侵攻した時点で、ロシアへの販売は中止していると主張した。しかし、新たな調査によると、ハース社は現在もまだ間接的にロシア軍需産業との取引を継続している可能性が示唆された。
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ハース社の工作機械は金属をあらゆる形状に加工、切断、研磨するようプログラムでき、ロシア軍需産業の至るところで使用されている。たとえば、モスクワの東3,000キロに位置するノヴォシビルスクに拠点を置く光学機器企業NPZは、兵器の照準システムから歩兵の暗視装置まで、ロシア軍が使用するハイエンドの光学機器を製造しているが、同社の製造工程でもハース社の工作機械が重要な役割を果たしている。ハース社は長年にわたり、公式代理店のアバメット・マネジメント社を通じてロシアで工作機械を販売してきた。
ロシアのクリミア併合を受けてロシア軍需産業に対する経済制裁が発動されて10年近くになるが、ハース社がアバメット社との関係を正式に断ち切ったのは2022年にウクライナ侵攻が本格化した後であった。同社は2022年3月3日以降は「ロシアへの直接的・間接的な出荷・販売は一切行っていない」と述べている。
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ウクライナ経済安全保障評議会(ESCU)の顧問デニス・フティクは、NewsHourの取材に対し、ハース社がロシア軍需産業といまも取引を継続している可能性を示唆した。ロシア国内で使用中のハース社製品のメンテナンスに必要なスペアパーツが、中国のSuzhou Sup Bestech Machine Tools Co., LTDというウェブサイトも電話番号もない謎の会社を通じて、ロシアに流入し続けているというのだ。
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NewsHourが税関の記録を調査したところ、ハース社がロシアへの販売や出荷を停止してから1年以上たった23年4月にも、ハースブランドのスペアパーツはロシアに出荷されていた。
その多くはハース社の工作機械VF-2YT用スペアパーツで、ロシアの国家調達記録によれば、そのうちの1つを、ノヴォシビルスクのNPZの工場が所有している。
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NewsHour は、ハース社に連絡を取り、同社製品が中国の仲介会社を通じてロシアに出荷され続けていることを伝えた。同社はインタビューには応じなかったが、電子メールで回答し、そのような仲介会社への販売記録はなく、ロシアへの販売があったとすれば、ハース社の方針に反して第三者が行ったものだと述べた。
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ハース社は、ウクライナ侵攻が本格化した22年にロシアでの事業を「自発的に」中止したと繰り返し語っているが、ロシアの軍需産業に対しては2014年から部門別制裁が課されていた。
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