調査レポート:ベンチャーキャピタルによる人権の監督、大多数の企業が責任を果たせず、多様性に欠けていることが判明
テクノロジーセクターに特化したベンチャーキャピタル(VC)ファンドは、AI、バイオテクノロジー、監視ソフトウェアなどの分野で活躍するスタートアップ企業に重要な初期投資を提供し、新興技術の開発において重要性を増している。これらの技術は、その後、我々の生活のさまざまな側面に影響を与え、経済成長、医療、サービスなどに恩恵と機会をもたらしているが、必ずしも人権保護を念頭に置いて設計されているわけではなく、プライバシーや表現の自由に重大なリスクをもたらしたり、差別を助長したりする可能性がある。VCファンドは、国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づき、事業活動やバリューチェーンにおいて、国際的に認められている人権を尊重するために必要な措置を講じる責任を負っている。しかし、アムネスティ・インターナショナルの新調査によると、世界最大のVC企業の圧倒的多数が、強靭な人権デューデリジェンス方針を導入していないことが判明した。
アムネスティ・インターナショナルの調査結果は、2021年7月に発表された報告書Risky Business: How leading venture capital firms ignore human rights when investing in technologyに記載されている。 本報告書では、ベンチャーキャピタルジャーナルが発表した世界最大のVC企業50社のリストに掲載されている企業と、3つの主要なアクセラレーター(Y Combinator、500 Startups、TechStars)に焦点を当てている。報告書の作成者らは、各VCの人権デューデリジェンスプロセスに関する公開情報を確認し、追加情報を求める書簡を各VCに送付した。その結果、大手10社のうち、適切な人権デューディリジェンス方針を持っている企業はなく、国連指導原則の基準を満たす可能性のあるデューディリジェンスプロセスを実施しているのはAtomico社のみであることが判明した。また、VCの分野や資金調達において、ジェンダーや人種の多様性が欠如していることや、その結果起こりうる弊害についても取り上げている。
ビジネスと人権リソースセンターは、掲載されている企業に報告書の調査結果に対する回答を求めた。そのうち、Third Rock Ventures、Index Ventures、Sofinnova Partnersから回答を得られた。
9月、BSRと国連のテクノロジーにおけるビジネスと人権(B-Tech)プロジェクトが発表したブログ記事では、我々の生活を形作るテクノロジーの開発において、プライベート・エクイティやVCファンドがますます重要性を増していることを認識し、VCファームが人権責任を果たし、政策的コミットメントの制定や人権デュー・デリジェンス・プロセスの強化によってテクノロジーが社会的進歩を助ける世界に貢献する方法を提案している。