人権デューデリジェンスと影響評価
国連指導原則で述べられているように、人権デューデリジェンス(HRDD)とは、人権への影響を特定し、防止し、軽減し、そしてどのように対処するかということに責任をもつためのプロセスです。これには、現在発生している実際の影響と、将来発生する可能性のある潜在的な影響の両方が含まれます。人権デューデリジェンスは、それ自体が目的ではなく、人権を尊重し、被害を防止するという目的のための手段です。人権デューディリジェンスの重要な要素は、ステークホルダー、特に従業員、コミュニティメンバー、人権擁護者、サプライチェーンの労働者、消費者などのライツ・ホルダーとの有意義なエンゲージメントです。
HRDDプロセスには、4つの中核的要素が含まれています。すなわち、企業が引き起こしあるいは助長し、または直接関係する可能性のある、実際または潜在的な人権への負の影響を特定し、評価すること;適切な措置を講じ、影響評価から得られた知見を企業の関連プロセス全体に取り入れること;措置が機能しているかを評価するために、その実効性を追跡評価すること;影響にどのように対処しているかについてステークホルダーとコミュニケーションを図り、適切な方針とプロセスが存在することをステークホルダーに示すことです。
人権デューデリジェンスには、人権影響評価、人権リスク評価、セクター全体の影響評価など、様々な形態や要素があります。企業は、人権を既存の社会的影響評価プロセスに取り入れることもできます。いずれにしても、評価とフォローアップは、「チェックボックス」ではなく、権利者との有意義なエンゲージメントから情報を得て、国際的な人権の枠組みに根ざしたものである必要があります。社会的監査は広く利用されていますが、企業の人権デューディリジェンスを代用するものでは決してありません。なぜなら、社会的監査は概念的に異なるものであり、しばしばラナプラザの災害のような影響を実効的に特定し、防止することができないからです。企業は、それぞれの状況やライツ・ホルダーへのリスクの程度に応じて、自社の購買行動やビジネスモデルの調整を含め、デューデリジェンスの方法をスマートに組み合わせて使用する必要があります。
国連指導原則は、特に金融投資を含むビジネスプロジェクトや活動について言及していますが、HRDDの手法は、政府の政策やその他のプロジェクトの人権への影響を評価するためにも用いることができます。時には、コミュニティやNGOが自らデューデリジェンスを実施し、自分たちの生活に影響を与えている事業活動の人権への影響を評価することもあります。
国連指導原則は、特に金融投資を含むビジネスプロジェクトや活動について言及していますが、HRDDの手法は、政府の政策やその他のプロジェクトの人権への影響を評価するためにも用いることができます。時には、コミュニティやNGOが自らデューデリジェンスを実施し、自分たちの生活に影響を与えている事業活動の人権への影響を評価することもあります。
このページでは、人権影響評価を含む、事業活動や経済政策の人権デューデリジェンスを行うためのガイダンスやツールを紹介しています。デューデリジェンスの実践例やケーススタディについては、こちらのページをご覧ください。
ガイダンス・ツール特集
デンマーク人権研究所人権影響評価ガイダンス&ツールボックス
人権影響評価(HRIA)とは何か、どのようにHRIAを実施するのか、ケーススタディやツールを含めた包括的なガイダンス
NomoGaia:人権ツール
NomoGaiaが提供する「人権影響評価」「人権リスク評価」「業種別HRIA」「人権方針」に関するリソース
Getting it Right:人権影響評価ガイド
ライツ&デモクラシーが試験的に導入した、コミュニティに焦点を当てた手法。
テクノロジー業界のための人権デューディリジェンス
デンマーク人権研究所のHRIAガイダンスでは、デジタル活動の影響に焦点を当てている。
業界全体における影響評価(Sector wide impact assessments)
業界全体における影響評価は、特定のビジネス業界が特定の地理的状況において実際に及ぼしている影響と潜在的な影響に着目する。
オックスファム:影響評価におけるコミュニティの声
デューデリジェンスがその目的を果たすためには、企業の活動、プロジェクト、製品、サービスによって影響を受けるすべての人、特にコミュニティの人々の視点を考慮する必要がある。