abusesaffiliationarrow-downarrow-leftarrow-rightarrow-upattack-typeburgerchevron-downchevron-leftchevron-rightchevron-upClock iconclosedeletedevelopment-povertydiscriminationdollardownloademailenvironmentexternal-linkfacebookfiltergenderglobegroupshealthC4067174-3DD9-4B9E-AD64-284FDAAE6338@1xinformation-outlineinformationinstagraminvestment-trade-globalisationissueslabourlanguagesShapeCombined Shapeline, chart, up, arrow, graphLinkedInlocationmap-pinminusnewsorganisationotheroverviewpluspreviewArtboard 185profilerefreshIconnewssearchsecurityPathStock downStock steadyStock uptagticktooltiptwitteruniversalityweb

コンテンツは以下の言語で利用可能です: English

投資家対国家の紛争解決(ISDS)

貿易・投資協定の多くに、投資家対国家の紛争解決(ISDS)条項が含まれています。政府の規制が企業の利益を損う場合、国際投資家はこの条項に基づき、国に損害賠償を求めることが可能です。このISDS条項は、人権や環境の保護を目的とする政府の決定に異議を唱えるために利用されています。

多くの貿易・投資協定にISDS条項が含まれています。この条項は、政府が企業利益を制限するような新たな規制を導入した場合、たとえその規制が公共の利益のために行われたとしても、国際投資家に投資受入国に巨額の金銭を請求する権利を付与します。

ISDS条項は、ビジネスと人権の問題に大きな影響を与えます。たとえば、EUが進めている人権デューディリジェンスに関する法制化は企業の説明責任を強化することを目的としていますが、この新しい法律に異議を唱えるためにISDS条項が利用される事態が考えられるのです。こういう意味で、ISDS条項は、国連指導原則に規定されている国家の人権尊重義務を政府が行使する能力を損なうものだと言えます。ISDS条項を利用してCOVID -19パンデミック中のロックダウンで失った企業利益の補償を国家に請求することさえ可能であり、ISDS条約がパンデミックからの公正な回復を脅かしていると指摘されています。

ISDS条項に基づく提訴の事例としては、タバコ包装の無地化を導入したオーストラリア政府をタバコ大手のフィリップ・モリスが提訴市民に安価な水を保証するアルゼンチン政府をアングリアン・ウォーターが提訴化石燃料消費の段階的廃止を決定したオランダ政府をドイツの石炭大手RWEが提訴した例などが挙げられます。これらの事例は、国際的な投資家のために特別に作られた仲裁裁判所で秘密裏に審理され、一般市民や国内企業は検討内容にアクセスすることもできません。

国が社会を守るためにグローバル企業の行動規制を検討する上で、ISDS訴訟にかかる費用と、仲裁裁判所が下す巨額の賠償金(時には数十億ドルに上る)は大きな阻害要因になっています。莫大な賠償金を科されるリスクはもとより、裁判を起こす余裕もないグローバルサウスの国々は、この「萎縮効果(regulatory chill)」の影響を不釣り合いに大きく受けています。

多くの国がISDS条項の拒否や修正を選択しはじめています。これまで、ISDSは国際貿易・投資協定の大半で採用されてきましたが、過去5年間に合意に至った条約では3分の1でしか採用されていません。

しかし、11カ国からなる環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)など、主要な貿易協定には引き続きISDS条項が組み込まれています。

統計で見るISDS条項

2800+

ISDS条項を含む貿易協定の数

(現在も有効な協定数)

61%

投資家が国に対して勝利した割合

ISDSに基づく仲裁裁判において

1億2500万ドル

企業が勝ち取った賠償金の平均額

企業が国家に対してISDS裁判を起こした結果として

35%

過去5年間に締結された貿易協定で ISDSを採用した割合

大幅に減少