採掘企業は、多岐にわたる人権に悪影響を及ぼしています。十分な協議や補償がなされないままコミュニティを別の場所に移動させたり、環境を劣化させ、それに伴って健康、収入源、きれいな水へのアクセスなどにも影響を及ぼしたりしています。それだけでなく、強制労働や性的暴行、ときには企業の資産を守る治安部隊による超法規的な殺害の訴えもあり、企業犯罪の法的定義に当てはまるケースも見受けられます。ビジネスと人権に関する元国連特別代表 ジョン・ラギー
天然資源は、すべてのサプライチェーンの起点に存在します。エネルギーや消費財、食料の生産には、天然資源の開発が欠かせません。つまり、その使用や開発、減少に伴って大金が動くことになります。そのため天然資源は、政府にとっても地域コミュニティにとっても莫大な富の源になり得ると同時に、あらゆる人々に恩恵をもたらすこともできます。ところが実際は、石油や天然ガス、石炭、鉱物資源、再生可能エネルギー、そして大規模農業への投資が人権侵害と密接に関連するケースが多く見られます。特に、最も資源に恵まれながら世界で最も貧しい国々でそうした事例が目立ちます。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」は、資源開発を進める企業の活動によって影響を受ける労働者やコミュニティの人権を守るのは、その企業はもちろん資源の買い手や投資家の責任でもあると明記しています。
こちらの重点課題のセクションでは、セクター別の分析や取り組み、ニュース報道をまとめています。
特集
再生可能エネルギーと人権に関するベンチマーク評価
今回初めて行った人権グローバルベンチマーク評価では、風力・太陽光最大手16社の人権方針について調査しています。
鉱物資源の追跡調査
低炭素経済への移行を後押しする鉱物資源の好況が人権に及ぼす影響の追跡調査
太平洋地域のビジネスと人権
報告が不十分なビジネスと人権に関する問題、人権侵害の申し立てや現地の声
文書作成チェックリスト
NGOやコミュニティが企業による人権侵害を特定し記録する際に利用するツール